水分をゼリーにするか?とろみにするか?-評価・考え方のポイント
水分の形態はゼリー/とろみ(濃い・中間・薄い・ごく薄い)で調整されている所が多いかと思います。
ゼリーととろみには、それぞれその特性に応じたメリット/デメリットがあります。
ゼリーを使っているから、とろみでは絶対飲めない!なんていうことではありません。
一方で、ゼリーは大丈夫だけれどもとろみには対応できない!という方もいらっしゃいます。(逆もまたしかり…)
それぞれの特性を活かして安全な経口摂取をサポートしていくことが大切です!
ゼリーととろみの物性についての細かな話はこちらに書いているので、気になる方はこちらも見てみてください!
とろみとゼリー
「嚥下が危ない人にはとりあえずとろみ、それでもむせるならゼリー」
こんな風な考えの方が当施設の介護/看護にはとっても多いなと感じています…
施設STとしてもっと布教を頑張らないければいけないと身に染みて思います。
こちらの学会分類をご覧になって分かるように、コード0には0t,0j、つまりは「とろみ」と「ゼリー」両方あります。
開始食は必ずしも「ゼリー」と決まっているわけではなく、患者さんの機能によって使い分けましょう!という意味です。
ゼリーととろみを比較して、物としてどちらが安全!と決まっているわけではなく、対象とする患者さんによって難易度が変わってきます。
一概にゼリーの方が安全!と断言することはできず、その方にとってはもしかすると「とろみ」の方が安全に摂取できるかもしれません。
その可能性を考えて評価していく必要があります!
ゼリーの特性
とろみと比較した分かりやすいゼリーの特徴は「ツルツルしている」ことです。
「つるつる/べたべた」の性質を「付着性」と言います。
ゼリーは付着性が低いです。付着性が低いので、飲み込んだ時にのどにべたべたとくっついて残留しにくく、するんと入っていくことが期待されます。
STとしてゼリーに期待する効果の1つは、この「咽頭残留しないで飲み込まれる」ことです。
のどに残っていた残留とともに、ゼリーが一緒にするんと飲み込まれると残留が綺麗にクリアされます。
よく聞く「ゼリーを使った交互嚥下」というのはこの効果を狙っています。
付着性の高いものがのどに残っても、その後のゼリーで綺麗に全部飲み込んだらのどには何もない状態になります。
逆に言えば、STは「ゼリーが残留すること」を恐れています。
ゼリーは付着性が低いので、のどに残ってしまった場合、その場所に張り付いて留まることができません。簡単にぽろりと気管側に落ちてしまう可能性が極めて高い。
ゼリーはするんと綺麗に飲み込めれば安全で咽頭クリアランスを図れるメリットがありますが、残留してしまうと誤嚥のリスクが一気に上がります。
そのため、「ゼリーは残留させない!」が鉄則です!
つまりは、「量の調整」が重要となってきます。
少し話がそれますが、ゼリーをクラッシュさせて介助している場面を当施設ではまだよく見かけます…
一般的に「ゼリーは凝集性が高い」と言われています。
凝集性とはまとまっている、という事です。口の中やのどで散らばりにくく、一塊、ひとまとまりになっているという性質です。
ゼリーはスライス型など配慮した塊の形で摂取すれば、凝集性が高いです。
しかしクラッシュしてしまうと、反対に凝集性は低くなります。(バラバラになっているので)
凝集性が低いことのデメリットは
・食塊形成に不利(刻み食が嚥下機能の低下した方におすすめできないのもこの理由)
・送り込み-嚥下圧が分散する(凝集性高いと圧が一点集中するが、凝集性低いと圧が散らばる)
ゼリーをクラッシュすると、ゼリーが本来持つ凝集性を低くし、デメリットを増悪させます。
「凝集性が低い+ゼリーの持つ付着性の低さ」により、のどに残った場合はより気管側へぽろりと落ちていってしまいやすくなります!
嚥下障害がない方、咽頭期障害が無い方に行う分には大丈夫だと思いますが、咽頭期機能が低下している方にゼリーをクラッシュして摂取してもらうのはリスクが大きいです…。
ましてクラッシュしたゼリーをカレースプーン一杯まるまる口に入れる…なんていうのは誤嚥のリスクが非常に高いです。
つまり、ゼリーはクラッシュせず一塊で、残留しない量で摂取するのが重要です!
そうすることで、ゼリーの特性(付着性が低い、凝集性が高い)を効果的に利用することができます!
(そのため、ゼリーを咀嚼をしてしまう方はゼリーのメリットが発揮し辛いです)
とろみの特性
ゼリーはつるつるとして付着性が低い物性でしたが、反対にとろみはべたべたとしていて付着性が高いです。
とろみによりまとまりがあるので、凝集性は高い物性です。
付着性が高いのでのどにべたっと張り付いて残りやすいというデメリットはありますが、反対に残留してもそのままのどの張り付いているだけで気管の方へ零れ落ちていきにくメリットがあります。
また、とろみをつけることで「流入速度」を遅くすることができます。
のどの筋力が落ちゆっくりになる動きに流入速度を合わせることができます。
嚥下機能が落ちた方に対して「お水は危ないのでとろみをつけましょう!」と言う時に期待されているのは多くの場合この「流入速度を落とす」効果です。
とろみはその方に合わせた濃度の調整、一口量の調整が大切です!
「濃くすれば安全」というわけではありません!!
濃くしすぎれば飲み込むのに力が余分に必要となり、残留を増やしてしまうことにも繋がります。
そのようにとろみを濃くしすぎた状態で、たくさんの量が入れられてしまうと、最悪の場合窒息に繋がってしまいます…。
その方が綺麗に安全に飲み込める濃さ/量を評価していく事が大切です!
とろみの場合は一回のごっくんで残留したとして、残ったものをどうクリアランスするかも一緒に考える必要があります!
指示が入り前屈位が取れたり空嚥下が可能、咳払いができたり、一回のごっくんの後に反射的に追加嚥下が起こるなら、とろみの方がゼリーよりも有効かもしれません。
おわりに…
ゼリーととろみ、どちらにもメリットデメリットがあります。
個人的には両方使うのもありだな…と思うことも多くあります。
量的・質的「交互嚥下」では「べたべた一杯→つるつるスプーン半量」と交互に摂取していく事で咽頭クリアランスを図っていきます。
その手法をとるときには、とろみとゼリー両方あった方が便利です。
食事場面ではミキサー食はべたべたしていることが多いので、水分はゼリーの方が交互嚥下しやすいです。
その方の機能にあった形態をきちんと評価して、安全な経口摂取を進めていきたいですね!
参考文献
特養STが考える「嚥下体操」ー特養・施設で行う口腔体操・嚥下体操
【誤嚥性肺炎】が日本人の死因の上位にランクインしてから、【嚥下】という言葉は一気に耳馴染みのあることばに変わってきましたね。
施設で食事の前に、「口腔体操」や「嚥下体操」を行うようになった所も増えたのではないでしょうか?
何となくやっていてももちろん意味はありますが、どうせやるなら「何故この動きをするのか」分かっていた方が面白いですよね!
ということで、今回は私が特養でしている「嚥下体操」「口腔体操」をご紹介+意図の解説をしていきます!
藤島式嚥下体操
上の図は藤島先生が考案された嚥下体操です。
私はこちらの嚥下体操をベースに、唾液腺マッサージ、嚥下おでこ体操を加えて嚥下体操を行っています。
深呼吸
安全な食事摂取には、【呼吸機能】が保たれていることが大切です。
「喉頭侵入してしまった際に、しっかりと強い咳で侵入した食塊を外に出せる」ことが、安全な食摂取には必要不可欠だからです。
鼻から吸って、口をすぼめて「ふー」と吐くことでしっかりと呼吸をすることができます。
「吸う時に手を上げる+吐く時に下げる」動作を加えると、胸郭の動きをサポートすることができ、より深く呼吸をすることができます。
リハビリ用の棒(新聞紙丸めてビニールテープで巻いたものでOK)があれば、棒体操として胸郭可動域訓練を行うことができます!
・両手で棒をもって上下+深呼吸
・両手で棒の端をもって体をひねる
・手を上に上げて、体幹を左右に倒す
棒を使うと「体操してる!」感がでるのでおすすめです!
首の運動
食べる前に首のストレッチをすることで、「ごっくん」と飲み込む時に動く筋肉が動きやすくなります。
「ごっくん」の時に動く筋肉の位置や関係については、下の記事を見てみてください!
頚部の前屈/後屈(下を向く/上を向く)
左右の側屈(左右に首をかしげる)
左右の回旋(首をひねる)
をやっていきましょう!
できる方には自分の手(もしくは介助して)で伸ばすともっとしっかりと伸ばすことができます。
「痛気持ちいい」程度に伸ばしていきましょう!
肩の運動
嚥下に関連する筋肉は、肩甲帯ともつながっています。
肩の動きが悪くなる、肩甲帯が固まってしまうと、嚥下に関連する筋肉が十分に動くことができません。
肩の筋肉をほぐすことで、嚥下に関係する筋肉も動きやすくすることができます。
肩の上げ下げ(きゅっと上げて、すとん、と落とす)
肩にてをあてて、前/後ろへ回す
唾液腺マッサージ
yosii.png (639×343) (kureishi.net)
加齢により安静時の唾液分泌は減ると言われていますが、刺激による唾液の分泌は変わらないとされています。(())
口に入れた食べ物をかみ砕いた後、飲み込みやすいように一塊にするには唾液が必要です。
また、食べ物の味は唾液に混ざり味蕾で感じることができます。唾液が不十分であると、食べ物の味を薄く感じたり、感じられなかったりすることがあります。
食事の前に唾液分泌を促すことで、①食塊形成を助ける②味を感じやすくする
効果があります。
頬・口唇・舌の運動
口腔器官は咀嚼・食塊形成の際にフル活用される部分ですね!
スポーツをする前に準備運動で軽く走ったりするように、食事前に動かしておくと食事の時に動きやすくなります!
頬を膨らます/へこます
口を大きく開ける「あ」→「ん」と思いっきり閉じる
唇を「い」→「う」
舌を思いっきり前に出す(できれば水平に)
舌の上下運動
舌の左右運動
舌の運動の際には、顎や首が一緒に動かないように意識してもらえるとなお良いです!
よく舌を上に動かすと首も一緒に上を向いていたり、下が右にいくと顎も一緒に右に動いている方が多くいらっしゃいます。
効率の良い食塊形成には、舌-下顎が分離して協調的に動くことが必要です。
赤ちゃんははじめ下顎-口唇-舌が一体化して動いていますが、徐々に分離して動かすことを獲得していき、母乳→離乳食→普通の食事と食べられるものが増えていきます。
高齢者の方で、特にペースト食を召し上がっている方はこの下顎と舌の分離運動が難しくなっている方が多い印象です。
ペースト食は基本的に食塊形成が必要のない形態(丸のみできる形態)であるため、下顎と舌の分離運動が不十分であっても飲み込めるようになっています。
分離運動の低下とペースト食の開始がどちらが先であるのかはいわゆる「にわとりタマゴ」の話になってしまいます…
分離運動は姿勢ともかかわってきています。
この辺りの話はまた複雑になってきますので、また別にまとめてみたいと思います!
発声訓練・パタカラ体操
「発声」は「声を出す」ことが目的です。
有声音(母音や特定の子音)を出す際には、声帯が閉まっています。
食塊が気管に落ちてしまいそうになっても、この声門閉鎖がしっかりとできていれば、防ぐことができる確率が上がります!
発声訓練は呼吸機能+声門閉鎖にアプローチすることを目的にしています。
声門閉鎖に選択的にアプローチする方法もあります(pushing/pulling法)
パーキンソン病の方がいる施設も多いと思うので、「なるべく大きな声を出しましょう」という指示を加えてみても良いと思います!
「低い声→高い声、高い声→低い声」と高さを変えていく事も、喉頭を自由に動かすエクササイズになります。
一回一回区切らずに息を続けて行うと、長く息を吐く運動にもなります。
複数のことを同時に行うと負荷は高くなりますので、利用者さんたちの機能や状態に合わせてプログラムしていきましょう!
パタカラ体操
パタカラ体操も、すっかり有名になりましたね!
「パ」で口唇閉鎖
「タ」で舌尖と口蓋の閉鎖(アンカー機能)
「カ」で奥舌と口蓋の閉鎖(舌ー口蓋閉鎖)
「ラ」で舌尖の細かな動き
を行う練習になっています。
まずは一つ一つの動作がしっかりとできるところから始めましょう!
スピードはそれぞれの動作が正確にできる範囲であげていきます。
集団で行うことが多いと思うので、「なるべく早く」ではなく「ゆっくりしっかり10回」などの教示で行うのが良いと思います!
個別に行う場合は、その方の機能に合わせてスピードを変えていきましょう!
嚥下おでこ体操
舌骨上筋群の筋トレです!
食事前に行うことで、即時効果が得られるとされています!
おでこを手のひらで押して押し返す、両手の親指で顎の下を押して押し返す…など色んなやり方が紹介されています。
おすすめは、【顎のしたにこぶし大のボールを入れて潰す】方法です!
おすすめの理由は、単純にやり方が分かりやすい!!
100均で売っているような、こんなボールでOK!
10秒潰し続ける/10回潰す、どちらの方法でも良いです!
おわりに…
どんな意味でやっているのかを伝えることで、体を動かすことに乗り気になる利用者さんもいます!
効果を知った上で、楽しく体操をしていきましょう!
参考文献
認知症のコミュニケーション障害への対応ー話題の選び方ー
認知症の方にとって「昔の話」が一番簡単なのか?
「認知症になっても、長期記憶は比較的保たれる」
「だから、昔の話題だったら認知症の方でも楽しく話せるだろう」
そう考えて話してみて、それでもなんだかうまくいかない…話題がころころ変わってしまう…
そんなご経験をされた方、多いと思います。
認知症の方の長期記憶が比較的保たれるのはよく言われることであり、昨日の話をするよりは、その方の昔の話をした方が記憶に残っている可能性は高いです。
「話してみて」「コミュニケーションとってみて」と言われると、何となく「昔の話」をしてしまいがちですよね…。
生活歴の情報収集の側面や回想法っぽいことをやっている!という面もありますし、それが悪いわけでは決してありません。
けれど、「昔の話なら問題なくできるだろう」という先入観でいくと、うまくいかないことがあります。
果たして、「昔の話」をするのが認知症の方にとって一番簡単なのか?
ここで言う【簡単】とは、「コミュニケーション」以外にどの程度のエネルギーを要するのか、という意味です。
「相手の話を聞いて、返答する」という部分以外に、やらなければならない事が多い話題は、その方にとって「難しい話題」になるのは想像に難くないと思います。
という事で、今回は「認知症の方にとって、簡単な話題とは何か?」について考えていきます!
(妨害刺激・環境/質問呈示の方法などももちろん絡んできます。この辺りの話は、また別の所でまとめたいと思います。)
話題と認知的資源
上の図はスピーチチェーンと言って、音声言語でのコミュニケーションの過程を図式化したものです。
私たちは相手の言葉を音として聞き、頭でその内容を理解し、それに対する返答を考えます。
考えた返答を運動に変換し、構音運動により言葉を音にして相手に伝えます。
inputを行う時だけでも、私たちは普段
・聞いた言葉を保持する
・言葉を理解する
・理解した内容から返答を考える(内容に対する思考)
という少なくとも3つの事をほぼ同時に行っています。
私たちの脳をパソコンと考えてみると、「話を聞いて理解する」という処理は、それだけで既に3つのファイルを開いた状態です。
新しいパソコンなら何の問題もなくどの作業も可能ですが、容量の少ない古いパソコンではどうなるでしょうか?
少し動きが遅くなったり、もしかするとどれかが止まってしまっていたりするかもしれません。
認知症は私たちの頭にある「パソコン」の容量が小さくなってしまう病気です。
一度に一個ずつなら問題なく処理できても、Youtubeを開きながらPowerpointで資料作って、ネットで文献も調べて…なんてことをするとフリーズしてしまう…。
「話を聞いて理解する」という作業は、それだけでも複数作業の同時処理が必要になります。
それは脳のパソコンの容量をかなり消費する作業です。
何気なく行っている「コミュニケーション」は、単一の簡単な作業ではありません。
そこをまず、押さえておきましょう!
認知的資源?
「認知的資源」という考え方は、こちらの本がとても参考になります!
著者の鈴木大介さんは脳梗塞による高次脳機能障害の当事者です。
高次脳機能障害による心身の変化、高次脳機能障害のある方の前に立ち現れる「世界」がどんなものなのか、「世界」がどう感じられているのか、どのような支援が望ましいのかを分かりやすく書いてくださっています。
高次脳機能障害・認知症の方に関わる方は、ぜひとも読んでみるべき本だと思います!
話を戻します!
認知的資源とは、先ほど話した「頭の中のパソコンの容量」のようなものです。
認知症の方は、そもそも認知的資源(パソコンの容量)が少なくなっています。
それに加えて、外部環境からの刺激を受けやすくなっていたり、作業効率が悪くなっていたりと、1つの作業に使うエネルギーが大きくなっています。
だから「話」に集中してもらうには、外部からの刺激を少なくする(静かな場所で、物がごちゃごちゃしてない、人の往来が少ない…)ことがまず必要です。
その上で「話題」の選定について考えます。
認知症の方にとって「簡単」な話題とは、この「認知的資源」の消耗の少ない話題です。
認知的資源と話題
最初に例に挙げた「昔の話」について、認知的資源の視点から考えてみましょう。
「昔の話」は「昔」の「出来事」ですから、それを掘り起こして話すためには長期記憶・エピソード記憶をたどる必要があります。
この時頭のパソコンで行われる作業は
・言語理解
・質問内容の保持
・記憶をたどる
・返答を考える
おおよそこの4つを同時に行うことになります。
「記憶をたどる」+「質問の保持」はぐっと集中する、エネルギーを大きく消費する作業です。
だから、「記憶をたどる」をしている最中に「質問の保持」ができなくなってしまう…ということはよく起こります。
頭の中で「保持」しなければいけない情報が増えるほど、パソコンは容量を食われ、認知的資源は減少していきます。
逆に言えば、その情報が外部で呈示されている状況であれば、頭の中にその情報を保持しておく必要がなくなり、負担が軽くなるのです。
このようなリンゴの絵を目の前に見せたままで「リンゴは好きですか?」と聞くとします。
目の前にリンゴの絵が呈示されたままなので、「リンゴの話をしている」という部分を保持しておく負担が軽くなります。
文字理解が良好な方でしたら、プラスして文字で「リンゴは好きですか?」と書いておけば、質問内容の保持への負担がもっと軽くなります。
認知的資源から考えると、このように「現前事象」「目の前にあるもの」に関する話題がエネルギーの消耗が少なく返答しやすいです。
内容を保持する、思い出すなどの頭での作業が必要となるほど、「保持しながら、思い出しながら」考える、エネルギーを大きく使うものになり難易度が上がります。
・覚えておく
・思い出す
・考える
この要素が入ってくる程、認知的負荷は大きくなります。
認知的負荷がその方の使える認知的資源の容量をオーバーしてしまうと、どこかが零れ落ちてしまったり、キャパオーバーでもういや!!とパニックになってしまわれる方もいらっしゃいます…
「この方は昔の話をするのが嫌なんだな」「話しかけられるのが嫌なんだな」と早合点してしまう前に、話題による負荷の影響も考えてみる必要があるかと思います。
ざっくりとした話題の難易度は以下のようになります。
話題の難易度(易→難)
・快/不快(痛み、うなり声など)
・現前事象
・自己身辺事象(ADLについてなど)
・親密度の高い話題(家族の話など)
・抽象的なやりとり(政治や歴史の話、時事問題など)
おわりに…
コミュニケーションは人間が人間として生きていくために必要不可欠です。
人は人として扱われることで、人として生きていく事ができます。
「人として扱われている」と人が感じるために、コミュニケーションによる「承認」が必要です。
安易に「この人は話すのが嫌い」「話せない」「理解できない」と判断してしまうと、その方の「人としての尊厳」を大きく損なってしまいます…。
セラピスト・介護職が日々接する方々は、そんなコミュニケーションに障害がある方々が多くいらっしゃいます。
専門職としてその方々に合った適切なコミュニケーション方法を提供していきたいですね!
サルコペニアによる嚥下障害と舌圧の関係ー高齢の利用者さんは何故嚥下機能が低下する?
サルコペニアによる嚥下障害
脳血管疾患の既往や神経難病等、嚥下障害を引き起こしそうな既往が無いにも関わらず、実際には嚥下に困難を抱える高齢者の方を施設ではよく目にするかと思います。
90歳になってもとんかつをもりもり食べている方もいれば、78歳でペースト食ミキサー粥をギャッチアップ30°で…という方もいらっしゃいます。
この78歳の方は、特段の既往歴がないのに、なぜ嚥下障害を生じているのか?
種々要因はあるでしょうが、要因の一つが「サルコペニア」です。
サルコペニアとは何か?
サルコペニアとは
【進行性、全身性に認める筋肉量減少と筋力低下であり、身体機能障害、QOL低下、市のリスクを伴う】
と定義されています。*1
診断基準は各学会により多少の違いはありますが、
・高齢者
・歩行速度
・握力
・骨格筋量
などから診断されます。
加齢以外の原因がない場合が原発性サルコペニア、その他の原因による場合を二次性サルコペニアとされています。
「その他の原因」には例えば廃用、低栄養、侵襲、悪液質…などが含まれます。
廃用とサルコペニアはどう違う?-摂食嚥下機能についてー
施設で出会う高齢者の方で、何の既往歴もないけれど摂食嚥下障害を有する方は、多くの場合「現在口から食べている」状態だと思います。
「食事をする」というそれだけで、嚥下関連筋群はしっかりと動いています。その方が食事もベッド上で一日中離床しない方であっても、嚥下関連筋群は「不使用」には陥っていません。
嚥下関連筋群を使っているこの状態で、他の何の病気も起きていないのに、それなのに筋力が落ちていく。
この状態が「サルコペニア」です。
同じ方が、肺炎になって入院したとします。
抗生剤をいっている間は絶食になってしまったとしましょう。
離床しない状況は同じですが、今回は「絶食」となっているので、今まで食事の時間働いていた嚥下関連筋群の使用頻度がぐっと落ちます。
嚥下関連筋群の「不使用」が生じます。
退院してきたら、ムセがひどくなった、食事時間が長くなった…
使わなかったことにより、その機能が落ちてしまった。
これが「廃用」です。
サルコペニアと老嚥(presbyphagia)
高齢者での嚥下機能低下には「老嚥」という概念もあります。
こちらもサルコペニアと同様に、加齢のみを原因とするものを原発性presbyphagia、疾患・活動・栄養など加齢以外の要因の絡むものを二次性presbyphagiaと分類されています。
舌・舌骨上筋群のサルコペニアが、presbyphagia(老嚥)に関連している。
と【サルコペニアと摂食嚥下障害】の中で若林先生は仰っています。
老嚥(presbyphagia)については、また詳しくまとめたいと思います。
サルコペニアによる嚥下障害と舌圧・口唇圧
論文+要約をご紹介させて頂きます。
(舌圧と口唇の筋力による高齢患者に対するサルコペニア診断の正確性ー横断的研究)
・サルコペニアによる嚥下障害は舌圧、口唇の筋力低下と有意に関連する。
(カットオフ値は、男性:舌圧24.3kPa口唇力10.4N、女性:舌圧23.9kPa口唇力8.5N)
この研究で対象となったのは65歳以上の急性期病院入院患者。
(高齢患者において低い舌圧は口腔・咳に関連する異常と関連している)
・低い舌圧(20kPa以下)は舌の協調性の低下、口腔通過時間の延長、咳反射、自発的咳嗽と独立した関連を有する。
The effect of tongue strength on meal consumption in long term care - PubMed (nih.gov)
(舌圧が長期療養における食事摂取に与える影響)
・食事中に嚥下障害の徴候(ムセなど)を示した患者は、そうでない患者にくらべ有意に舌圧が低かった。
舌圧の低さは食事時間の延長、食事摂取量の減少、嚥下障害の徴候と有意に関連していた。
サルコペニアによる嚥下障害においては、舌圧・口唇力の低下が認められます。
サルコペニアの定義が「筋肉量低下・筋力低下」であるため、この結果は納得がいきます。
舌圧が低下することで食塊を送り込むのに時間を要し、結果的に食事時間が延長します。
筋力が落ちているので送り込み、食道へ押し込むのがより大変になり、疲れやすくなります。
疲れてしまうので、食事を全て食べきることが難しくなります。
摂取カロリーが落ち、低栄養となり、サルコペニアが益々進み…と悪循環が生まれてしまいます。
フレイルやサルコペニア予防の第一として挙げられるのは、レジスタンストレーニングです。つまりは運動、筋トレです。
ということで、続いては「舌」「口唇」の筋トレについて。
(低栄養状態での筋トレは逆効果になってしまいます。
しっかしと栄養状態を整えた上で、筋トレを行っていきましょう)
舌圧トレーニング方法
ぺこぱんだ
舌圧子やスプーンを使う
舌圧子やスプーンで介助者が抵抗を加える方法もあります。
STはこの方法で行うことが多いかと思います。
どの部分にどの程度負荷をかけるかを調整できる故に、自分が今何を目的に行っているのかに注意しなければいけません。
ペコパンダの代わりとして使うならば、前舌の挙上を行うため、舌の前方中央辺りに平らにおいて抵抗を加えます。
奥に入れすぎると舌面の挙上になってしまう+咽頭反射・嘔吐反射誘発のリスクがあるため注意しましょう。
口唇のトレーニング
こちらのリップトレーナーは外に出る部分を介助者が引っ張って負荷を掛けます。
昔からある訓練方法でボタンに糸を通して行うものがありますが、誤飲のリスクの高いかたはこちらの方が安全かと思います。
ブローイングでも口唇閉鎖を促すことができます。
長息生活も負荷を選ぶことができるため、レベル0から始めて10秒程度吹き続けることができるレベルを選びましょう。
もちろん呼吸機能訓練として行うこともできます!
【急変対応】窒息の対応ーもし利用者さんが窒息したらどう対処したらいいか?-
窒息の原因となる食品
年末年始にかけて、「餅」による窒息がぐんと増えます。
普段食べない餅を食べる機会が増えるため、この時期餅による窒息が増えますが、窒息の原因となる可能性の高い食べ物は餅に限りません。
「パンが窒息しやすい」という事は、最近認知されてきたように感じています。
パンと同様の物性であり、高齢者に好まれるカステラも、高齢者の窒息の原因として上位に挙がっています。
下の図は、高齢者の窒息の原因となった食品をランキング形式にしたものです。
毎日の食事で提供される「ご飯」「お粥」も、窒息しやすい食べ物の上位に入ります。
ご飯(米飯)は餅の次に、窒息の件数が多い食品です。
窒息は普段食べない食品を食べる時だけではなく、日常的な食事の場面で起こりえます。
もちろんそんな事態は起こらないのが一番ですが(そのために普段の嚥下機能評価・食形態調整・姿勢の調整・ペーシングなどの対応が必要)、もし起こってしまった場合には一刻も早い対応が重要です。
窒息してる?大丈夫?をどう判断するか
窒息への対応を開始するには、「その急変は窒息なのか?」を判断しなければいけません。
咳をしているからムセてるだけ…と思っていると、防げたはずの窒息を見逃してしまうかもしれません。
気道閉塞による窒息は
①完全閉塞
②不完全閉塞
の二つに分かれます。
こちらはACLS/BLSの福岡博多研修センターHPにまとめられていた完全閉塞/不完全閉塞の徴候と対応の図です。
この図だけでなく急変一次対応についてとても分かりやすくまとめられていましたので、興味のある方は是非ご覧ください!
不完全閉塞時の症状
・咳
・ムセ
・喘鳴(ヒューヒューという呼吸音)
「咳」「ムセ」でも窒息の可能性があります!!
よくよく考えれば、咽頭残留はいつも窒息の可能性と隣り合わせです。
残留が多ければ、空気の通り道まで塞いでしまう可能性はいつもあります。
まして「咳」「ムセ」が出現しているということは、「喀出せねばならない場所」=「気道」に食塊があることを示しています。
いつもむせてるから…と安易に目を離すと、気付かないうちに完全閉塞に至り手遅れに…なんてことになりかねません。
ムセている方には、その後の喀出がちゃんとできたのか注視しておく必要があります。
完全閉塞時の症状
・チョークサイン(のどのあたりをかきむしるような動作)
・声が出ない
・弱く効果のない咳
・進行する呼吸困難
・チアノーゼ
救急医療の現状と気道異物による窒息への対応 (jst.go.jp)
上の表はリンクを貼った論文に記載されていた、窒息確認の重要項目です。
これを頭に入れて、窒息を疑う際には確認を行うと良いです!
窒息時の対処法
意識のある場合
【呼吸が確保されている場合は、自発的に咳と呼吸の努力をするように促す】と上の論文には記載されています。
気道を閉塞している異物が視認できる場合は、指でかきだしましょう。
見えないのにやみくもに指をつっこっむことは推奨されてはいません。
意識があり完全閉塞に陥ってる場合は、ハイムリッヒ法・背部叩打方・胸部突き上げ法を行います。
ハイムリッヒ法
※内臓を傷つけるリスクがあります。
妊娠している方や、腹囲の大きな方は胸部突き上げ法を行います。
立位または座位で行います。
片手はこぶしを握り、もう片方の手は外側からこぶしにあてます。
こぶしをへその上、剣状突起の下に当て、内上方へ突き上げます。
意識のある成人に対するハイムリッヒ法 - 21. 救命医療 - MSDマニュアル プロフェッショナル版 (msdmanuals.com)
気道異物除去の手順|日本医師会 救急蘇生法 (med.or.jp)
背部叩打法
・座位で行う場合
頭をしたに下げさせ、胸のあたりに片手を回します。
手のひらの付け根辺りで、肩甲骨の間を頭側へ向かってたたきます。
・側臥位で行う場合
介助者の方に顔が向いた側臥位で行う。
たたき方は座位と同様。
胸部突き上げ法
胸部突き上げ法は、ハイムリッヒと同様のやり方を胸部で行うものです。
ハイムリッヒではこぶしをへそと剣状突起の間に置きますが、胸部突き上げ法では胸部圧迫と同じ位置にこぶしを置きます。
これら三つの方法は、どれも異物が喀出される/意識がなくなる まで行います。
何度かやって状態が変わらなければ、救急要請しましょう。手遅れになるよりは、呼んでいるうちに取れたほうがよっぽど良いです。
意識がない場合
前述した三つの方法は、どれも意識がある場合に行います。
意識がない場合はCPR(胸骨圧迫→人工呼吸)+AEDを行いましょう。
脈無し+呼吸無しでAED装着と書かれていますが、冷静ではない状態で脈の確認をしっかり行える自信が私にはありません。
とりあえずつければAEDが要/不要を判断してくれますので、意識が無ければAEDを持ってきておきましょう!
異物除去に便利な道具
施設にある普通の吸引カテーテルでは、お粥やまして米飯を除去することは困難です。
最近では掃除機のノズルに取り付けるタイプの吸引機が販売されています。
掃除機は医療用の吸引機より吸引力が強く、販売されている吸引用のノズルは吸引カテーテルよりもずっと径が大きいです。
おまけー高齢者の窒息と関連する要因
【在宅高齢者の窒息事故と関連要因に関する研究】
在宅要介護高齢者の窒息事故と関連要因に関する研究 (jst.go.jp)
こちらの論文では、「窒息と関連する高齢者の性質は何なのか」「どんな高齢者が窒息を生じやすいのか」という事を調べてくださっています。
窒息の有無とより強く関係があったのは
・脳血管障害の既往
・嚥下障害
の二つであり、その他にリスク因子として以下の要因が挙げられています。
・ADLの低下
・認知機能の低下
・嚥下機能に影響を与える薬剤の使用
・食形態の低下
・食事介助を必要とする
・舌圧の低下
ケアを行う立場として注意しておきたいのは、「食事介助を要する」という事が窒息のリスクを高める因子として挙がっている、という事です。
食事介助を必要とする方はそもそも認知機能が低下していて、ADLが低くて、廃用も進んで筋力低下しているから舌圧も低くて…という相互関連があるのは確かです。
そのような間の理論は置いておくとしても、「自分が介助に入るという事は、この方は窒息のリスクが高い」という事を念頭に置いておく必要があります。
食事介助は食事を早く終わらせるために行っているのではありません。
安全に、安楽に「食事」を行うことをサポートするために行っています。
窒息事故が増える年末年始。
もう一度気を引き締めて、日々の仕事に向かっていきたいですね!
【英語論文要約】アルツハイマー型認知症患者のIADLに対する認知リハビリテーション
アルツハイマー型認知症患者のIADLに対する認知リハビリテーション
(A randomized cross-over controlled study on cognitive rehabilitation of instrumental activities of daily living in Alzheimer disease)
【概要】
この論文では、軽度~中等度AD患者(MMSE16-27点)に対し自宅の状況で特定のIALDに対し訓練を行っています。
訓練するIADLは本人・主介護者の興味や希望によってきめられています(例:テレビのリモコン操作、パソコンでメールを送る)
訓練は四週間、週に2回実施された。この四週間の間、主介護者は訓練している作業を本人と一緒に行うように求められていました。そのために主介護者は記憶システム、間隔伸長法や誤り無し学習といった認知訓練について、またアルツハイマー型認知症について、認知機能についての情報を専門家から教授されています。
訓練した特定のIADLについてのDMTは改善し、効果は3ヶ月後も継続していたが、他の評価指標での有意な改善は認められませんでした。
※DAT=direct measure of training
作業を複数のステップに分け、それぞれのステップに対しての介助量をスコア化したもの。
独立して作業が可能:4
言語的な誘導が必要:3
言語的+視覚的誘導が必要:2
言語的+視覚的+身体的な誘導が必要:1
そのステップの完遂が困難:0
訓練方法
IADLの訓練は【誤り無し学習】【間隔伸長法】の二つが用いられています。
【誤り無し学習】の方法に基づき、訓練は各レベル/各施行の時間間隔を段階的に上げていくようにされています。
訓練時のサポートは4段階に分けられています。
レベル1
訓練するIADLの全てのステップを介助者が本人の目の前でやって見せる。
レベル2
介助者が全てのステップを言語化し、本人が各ステップを行う。
レベル3
本人が全てのステップを言語化し、介助者のサポートを受けながら行う。
レベル4
本人が全てのステップをサポート無しで行う。
各施行の時間間隔は30秒、1分、2分、4分、8分の5段階で行われました。
30秒から8分の五段階全ての間隔で正しい作業を行うことが可能になったら、次のレベルに進んでいきます。
あるレベル、ある時間の試行で失敗した場合、次の試行は1つ下のレベル・半分の間隔で行います。
私的考察
・訓練は認知リハビリテーションや記憶システムについて教えられた【主介護者】が自宅で毎日行っています。
訓練したIADLが再学習されるには、そのたびごとの適切なリハが必要だと考えられます。
+適切なリハで、中等度ADにおいてもIADLの再学習が可能。
この辺の結果・間隔伸長法+誤り無し学習の手法は、グループホームでのケアにとってもとっても活かせる気がしています!!
グループホームは生活の場なので、リハ的なケアを行いやすく、こういう介入の好適応ではないかなと思っています。
・その方のニーズの把握は、当たりまえですがとても大切!!
その方の生活、興味、関心、嗜好、実際の困難を踏まえた上で、どの部分に焦点を当てるかを考える必要がありますね。
・生活行為の工程分析→各工程の段階的なヒント…と1つのケア、支援をするにもその方がどの工程でどれだけの支援が必要なのかのアセスメントは必須。
丁寧な工程分析によって、よりその方の機能を活かしたケアに繋がる+リハとしてフォーカスすべき部分が明らかになる。
車いす自走・自立判断のカギ【ブレーキ管理】を補助する新しい車いす+「急に立ち上がって危ない」に対応できる車いす
車いす移動自立、車いす⇔ベッド・トイレ移乗自立の判断をする時に、身体機能とともに大きなポイントとなるのが【リスク管理】です。
リスク管理・リスク意識の詳しい話はこちらにまとめましたので、興味があれば御覧ください。
車いすでの移動、車いすから・車いすへの移乗のリスク管理を考えた時、よく問題に上がるのが【ブレーキの管理】です。
つまりは、ブレーキを掛けないまま移乗してしまう。そのため、移乗の際車いすが動いてしまい、転倒・転落のリスクが上がってしまう…。
それを防ぐために、「ブレーキをかける」動作を体にたたき込んだり、言語化して徐々に手がかりを減らして言ったり…とやっていくわけですが、最近?は画期的な車いすが登場しています。
その名も、【自動ブレーキ付車いす】
これがあれば、「ブレーキ管理が不十分」でも移乗自立にできる可能性がぐっと高まります!!
ということで、自動ブレーキ付車いすのご紹介をしていきます!!
「ブレーキ管理」の外的補助手段ー自動ブレーキ付車いす
こちらにあげたのはMikiから発売されている自動ブレーキ付車いすですが、松永からも同様の機能が付いた車いすが出ているようです。
仕組みはとても簡単で、座っていると自重によりブレーキが外れていますが、立ち上がるとブレーキが上がるようになっています。
認知症による記憶や注意の低下がある方で、ある程度の身体機能が保たれている方は、このタイプの車いすに変えれば見守りを外せるのではないのかな…と考えます。
なんの機能も付いていない普通型車いすと比べると、やはりお値段が張るのが唯一の難点…
ただこの車いすに変えるという選択をするだけで、移乗自立にできるのなら十分検討の余地があるかと思います。
「急に立ち上がって危ない」に対応可能な車いす
もう一つぜひ紹介したい車いすがあります!
フランスベッドから販売されている【転ばないす】
自動ブレーキに加え、【セーフティーフットサポートが下がる】仕組みが導入されています!
画期的ですよね!!
立ち上がってバランス崩して転倒…のリスクは変わらないにしても、フットサポートの上に立って勢いよく前へ転ぶタイプの転倒は防ぐことができます。
とてもほしい!!うちでもぜひ導入したい!!
ですが、やはりネックはお値段…。
施設だったら上と相談して導入検討してもらえるように頑張るしかないですね…。
さっと調べてみたらレンタルで出している業者もあるみたいなので、介護保険でレンタルが手に入りやすいかと思います!
おわりに…
機能を代替する技術の進歩には驚かされるばかりです!
「ブレーキ管理不十分だから、移乗は見守りで…」なんていつまでも言っていないで、こんなタイプの車いすだったら自立にできますよ!と提案できるセラピスト/介護士でいたいですね!