ST介護職の考え事

認知症・高次脳機能・ケアについての覚え書き

【介護職必見】汗でも崩れない!化粧崩れを防ぐ!おすすめ化粧下地

介護・医療現場は体力仕事が多いです。

夏場のオムツ交換、入浴介助。必死にこなして、気づけばメイクは総崩れでボロボロ…

 

眉毛が落ちても、黒い涙が流れても、ベースメイクは守っていたい!!

 

そんな思いで、

【夏場・汗をかいても大丈夫!化粧崩れを防ぐ化粧下地】

おすすめをご紹介していきます!

 

汗をかいても大丈夫!化粧崩れを防ぐ!おすすめ化粧下地【デパコス編】

 

Dior

ディオール バックステージフェイス&ボディ プライマー

 

 本体価格:5400円
「化粧もちを持続させるメイクアップベース」
肌がヴェールに包まれてソフトフォーカスされたような印象になり、毛穴や欠点を目立たなくし、均一な状態にしてくれます!
 
するすると少しの量ですごく広がっていきます!コスパ良いです!
肌の上に一枚ベールをかぶせたような、セミマットな使用感です。
あまり浮きすぎず、自然なトーンアップとくすみケアができます!
 
ピタッときれいな仕上がりで、出勤前にメイク⇒化粧直しなしでも大きな崩れはありません。
Tゾーンのテカリはちょっとあるので、Tゾーンの脂取り⇒ファンデをポンポンで1日綺麗なメイクで過ごせます!
 
カバー力・化粧持ちともに◎です!
セミマットな質感なので、マット感苦手な方は微妙かもしれません…。
質感が大丈夫なら、化粧崩れ対策にとてもおすすめの下地です!
 
 
 
タンイドル ウルトラ ウェア ブラー
 本体価格:4980円
 
気になる肌悩みをなかったことにする、毛穴カバー用下地。
消しゴムのように毛穴やしわなどの凹凸を瞬時にカバーして、崩れの原因や皮脂にアプローチします。
 
スティックタイプでとても使いやすいです!
広がった毛穴などに直接塗り込むと少しマットになり、カバー&フラットにしてくれます。
 
Tゾーンや小鼻の脇など、テカリの気になる部分に塗るとテカリにくく&崩れにくくなります!
気になるところに部分使いで十分効果を発揮してくれます!
部分使いで少量ずつ使えるため、コスパがとてもいいです!
 
「下地⇒気になる部分にタンイドル ウルトラ ウェア ブラー⇒ファンデ」の使い方がおすすめです!
ファンデの上からぽんぽんと乗せて、化粧直しにも使えます!
 
トップ シークレット モイスチャーエクラ ポア マット
 本体価格:5300円
 
シルクのように軽くて心地よいテクスチャーの乳液が、肌の上でサラサラに変化し、余分な皮脂を吸着。
ブラーリング効果を併せ持ち、瞬時に毛穴レスを実現します。
 
「乳液」の名の通り、柔らかな肌触りでとてもいい匂いがします!
肌を滑らかに整えてくれるので、これの後に下地ぬるととても化粧のりが良いです。
下地の前にTゾーン、テカリが気になる部分に塗っておくことで、テカリや崩れをかなり抑えてくれます!
こちらも部分使いでOKな上、少量でとっっっても!伸びます!コスパ良いです!
 
もちろん化粧直しにも使えます。
毛穴のカバー力は小さな毛穴なら隠れる程度ですが、保湿しながら化粧崩れ防ぐにはとてもおすすめです!
 
 
 
トリートメント セラム プライマー
 
 本体価格:6000円
 
乾燥崩れも、皮脂崩れも、水分崩れも防ぐ、つねに適したうるおいの膜で致す「生きる艶」のプライマー。
大人の肌に必要なうるおいを与え、一層のバリアフィルムでカバーします。
 
淡いピンクのカラーで、肌の血色が明るくなり自然なトーンアップが可能です!
乳液のようなのびの良さとしっとり感!肌の上でするすると伸びて、とても軽い付け心地です。
 
【諭吉ファンデ】と一緒に使うことで、崩れはあまり気になりません。
他のファンデとの使用でもトーンアップはいい感じですが、化粧持ちは【諭吉ファンデ】との併用の方がいいなという印象です。
乾燥肌の方は乾燥が…という口コミがありましたが、混合肌の私は乾燥は大丈夫でした。
 
参考⇒【諭吉ファンデ】
 
 

化粧崩れを防ぐ!おすすめ化粧下地【プチプラ編】

 

リベルタ

カラーコントロールベース(下地)カラー/ライラックパープル

 

 本体価格:1458円
 
インパクトのあるカラーですが、肌に伸ばすとすぐになじみます。
肌のくすみを飛ばして、ワントーン明るい肌色にしてくれます!
何より崩れない!
お風呂介助でだらだら汗をかいても大丈夫です◎
それなのに乾燥しない!
この価格でこの化粧持ちは感動するレベルです!
 
汗やら皮脂やらでぼろぼろメイクが崩れやすい夏…
プチプラでコスパも良いので、普段使いにおすすめです!
 
 
 
キス(Kiss)
マットシフォンUVホワイトニングベースN
 
本体価格:1760円
 
過剰な皮脂を吸収して、サラサラ肌を長時間キープ。
テカリ・化粧くずれを抑えて、ふんわりマットなマシュマロ肌にします。
 
少量でよく伸びます!使い心地はしっとりサラサラ。セミマットな質感です。
こちらも崩れないです!毛穴もしっかりと隠してくれます!
テカリもよく防いでくれます。朝塗って、家に帰るまで、小鼻の脇までマットなままでいられます!
 
セミマットな感じなので、人によっては厚塗り感を感じることもあるかも…
その分カバー力はあります。
 
 
 
皮脂テカリ防止下地
 本体価格:600円
 
皮脂テカリ抑制成分配合で、メイク崩れの原因となる皮脂を抱え込んで広げない下地。
Tゾーンや小鼻のテカリを感じさせないので、長時間化粧持ちが続きます。
 
言わずと知れた実力派のテカリ防止下地!
つけた瞬間、肌触りがサラサラになります。
皮脂でのテカリはとても防いでくれます。汗での化粧崩れは、何とか頑張って防いでくれている印象。
3桁価格でここまでやってくれるのなら、言うことなしだと思います!
 
 
 
エテュセ
フェイスエディション(プライマー)フォーオイリースキン
 
 本体価格:1320円
 
Tゾーンなどテカリや化粧崩れの気になるところにブラシで時直塗りし、手軽で簡単に毛穴・テカリをカバーする部分用化粧下地。
透明ベールをかけたよういい開いた毛穴をカバーしながら、テカリ吸収パウダーが皮脂を吸着し、さらさらでマット肌をキープして崩れません。
 
朝使うだけで、汗をかいてもテカリや崩れが気になりません!
ブラシでちょちょっと塗った後にとんとんと指でなじませると、その部分がさらさらします。
部分使い用なので、コスパとっても良いです!

 

【番外編】

暑い夏を快適に!おすすめ化粧下地!

 

コフレドール 

アイスプライマー

 本体価格:1300円

 

ひんやりとした使い心地が特徴の冷感下地です。

スポンジに出した瞬間に水分が氷状に変化します!

しっかりと密着しながら、肌を均一にカバーしてくれます。

 

つけた瞬間の「ひやっ」とした付け心地は、べたつきの気になる夏にはぴったり!

他の下地と比べて、夕方のべたつきが軽減されたように思います!

Tゾーンのテカリや崩れもそれほど気になりませんでした。

ほぼ色のない下地なので、シミやニキビ跡等のカバーはアイスプライマーだけでは難しいかも…

カバー力を上げるには、ファンデやコンシーラーとの併用をお勧めします!

 

私(混合肌)は気になりませんでしたが、乾燥が気になる方もいるみたいです。

乾燥が気になる方は、ファンデをしっとり目にすることで乾燥を軽減できるみたいですよ!

 

 

 

 

口腔内衛生状態の評価方法-OHAT使用の勧め-

 

OHAT(Oral Health Assessment Tool)とは?

OHATの評価用紙は↓のURLからダウンロードできます。

http://dentistryfujita-hu.jp/content/files/OHAT%20160120.pdf

また、藤田保健衛生大学医学部 歯科・口腔外科学講座 歯科部門のHPから説明用資料や動画をダウンロードできます。

http://dentistryfujita-hu.jp/research/project.html

 

OHATはオーストラリアの歯科医師Chalmersらによって開発された、口の中の状態のアセスメントシートです。

 

OHATは施設で、自分自身で口腔内の痛みや異常の訴えを表出することができない要介護者の口腔問題を、適切に発見することを目的として作られました。

 

口腔ケアを行うことが、誤嚥性肺炎を有意に防ぐことが近年明らかにされてきています。

それに伴い、口腔ケアの重要性は徐々に認識されてきています。

 

しかし、口腔ケアの対象である「口腔」の、簡便な評価ツールは今までありませんでした。

一見して「汚い」「ひどい」口腔でも、それぞれ主観による評価になっていまい、統一した評価、評価に基づくケアが難しい、という現状がありました。

丁寧な口腔ケアを継続して、口腔内環境が改善した時も同様です。

 

「どこが」「どの程度」を数値化・客観化することで、口腔状態を適切に評価し、評価に基づいたケアを行っていくことができます。

 

OHATの使い方

f:id:ryok-kobayashi:20200710192030j:plain

OHAT

 

OHATの評価方法はとても簡単です!

介護職員が簡便に評価できるように、OHATは作られています!

 

OHATの評価項目は、「口唇」「舌」「歯肉・粘膜」「唾液」「残存歯」「義歯」「口腔清掃」「歯痛」の8項目あります。

この8項目を、「0=健全」「1=やや不良」「2=病的」の3段階で評価を行います。

 

OHATの評価用紙には、図のようにそれぞれの段階に合わせた写真が載せてあります。

その写真と見比べながら、目の前の利用者様の口の中とを比べて点数をつけていきます。

 

1項目でも「2=病的」の項目であれば、歯科受診を勧める必要があります。

 

OHATは基本的には写真と見比べて、評価=点数をつければよいです。

各項目いくつか注意点があるので、その注意点だけまとめていきます。

 

OHAT評価項目の注意点

・口唇

口唇をよく観察し、必要があれば触れて確認します。

口角は、軽く開口させて状態を観察しましょう。

口角の乾燥やひび割れを認めたら1点を付けます。

潰瘍性の病変、出血があればただちに2点を付けます。

 

・舌

舌苔の付着があれば、量や性状、色にかかわらず1点

潰瘍性病変、出血があればただちの2点

 

・歯肉・頬粘膜

歯肉はかみ合わせた状態、頬粘膜は少し引っ張った状態が観察しやすいです。

歯肉の腫れ、赤みは「歯6本分以下」なら1点、「歯7本分以上」なら2点。

 

揺れている歯がある、歯肉・頬粘膜に潰瘍性の病変があるなら2点。

 

・唾液

唾液が少量で粘膜がべたべたしていたら1点

泡沫状(泡状)の唾液があるなら1点

唾液がほぼなく、舌がかぴかぴとひび割れた干からびた状態であれば2点

意思疎通可能な場合、「口渇感」があると訴えがあれば1点以上をつける。

 

・歯

残存歯(残っている自前の歯)が1本もないけれど、上下の総入れ歯を使っていれば0点。(健全)

間違いやすいので要注意です!

 

虫歯、歯が折れている、残根、咬耗(強い噛みしめで歯が削れて低くなっている)が「3本以下」なら1点。「4本以上」ならば2点。

 

残存歯が3本以下で、義歯を使用していなければ2点。

 

・義歯

義歯や人工歯(差し歯やインプラント等)が折れている、破損が一部分あれば1点。

2部位以上あれば2点。

 

破損などの異常がなくても、1日1-2時間しか使用していない場合は1点。

施設にもってきていなくて使っていない場合は、紛失と同じ扱いとして2点。

 

・口腔内清掃状態

食べ物のカス、歯石、プラークが1-2部位あれば1点。3部位以上あれば2点。

口臭が若干あれば1点。強い口臭があれば2点。

おわりに…

OHATを使うことで、「見なければいけない部分」が分かるようになります。

はじめは抵抗感があるかもしれませんが、慣れてしまえば評価項目は自然と頭に入り、ぱぱっと評価ができるようになります。

口腔内衛生状態の定期的なアセスメントツールとして、

「適切なケアでこんなに変わったよ!」を証明する道具として、

ぜひOHATを使ってみてください!

 

 

言語聴覚士が伝える「食事介助の基本」

 

食事の介助とは

f:id:ryok-kobayashi:20200709181344p:plain

食事介助とは、箸やスプーンを持てない、うまく食事を飲み込むことができないなど、ひとりでうまく食事できない方のために介助を行うことを指します。具体的には、スプーンを口に運んだり、飲み込みやすい工夫を考えたりすることで、被介助者の食生活をサポートします。


高齢になると、全身の筋肉が衰えるため食事が困難になりがちです。特に嚥下障害がある場合は、食事が原因で誤嚥性肺炎を引き起こすこともあるため、適切な食事介助が必要になります。

 

今回は基本的な注意ポイントだけ概説していきます。

嚥下障害がある方への食事介助は、一人一人細かな注意点があります。

その辺りについては、他の記事を参考に利用者様を評価して多職種で検討していくのがよいと思います。

 

食事介助の手順

①姿勢を整える

食事を始める前に、まずは姿勢を整えましょう。

座位であれば、下の図にあるポイントをチェックしましょう。

f:id:ryok-kobayashi:20200709181608p:plain

食事の姿勢注意ポイント(座位)

仙骨座り・ずっこけ座りは骨盤後傾⇒頭が下がる⇒机の上を見るために頸部伸展という悪循環を生みます。

また車いすに移乗した際に適切に姿勢を整えなければ、骨盤が左右に傾いたまま座っている方がたまにいらっしゃいます。

骨盤が傾いていると、体幹も傾いてきてしまいます。

臀部の下に両側から手を入れてみて、傾きの有無を確認しましょう。

傾きがあるようだったら、骨盤を回転させるイメージで手を滑らせて姿勢を整えます。

 

「足底接地」はおろそかにしがちですが、重要なポイントです。

膝90度の足底接地は、効率的な嚥下を行う上で有利であるというエビデンスが出始めています。*1

 

テーブルの高さも大切です。

テーブルが高すぎると食事が見えなくなります。また低すぎると猫背を助長し、結果的に頸部伸展位となってしまいます。

中々テーブルを買い替えるのは難しいとは思いますので、テーブルが高い場合は

・椅子にクッションを入れる

車いすにつけるテーブルの使用

・サイドテーブルの使用

等の対応が考えられます。

 

反対にテーブルが低い場合には

・低い椅子/車いすへの変更(食事時のみ)

・サイドテーブル(昇降式)の使用

等の対応が可能か検討してみてください。

 

ベッド上での姿勢は、次の図を参考にしてみてください。

f:id:ryok-kobayashi:20200709185245j:plain

食事の姿勢注意ポイント(ベッド上)

足底接地が重要であるのは、座位でもベッド上でも変わりません。

タオルやクッション等で、踏ん張りがきくように足の裏を支えましょう。

 

ベッドの角度は45-60度と書いてありますが、これはその方の嚥下機能を評価した上で変えていく必要があります。

嚥下障害がなくて介助が必要な方であれば、60度~90度近い角度でよいと思います。

 

ベッドの角度を変えた際には、背抜きをするようにしましょう。

自分がされてみると分かりますが、Bedupをして背抜きをしてもらえないと背中が突っ張る感じがしてとても不快です。

身体的な不快が食事への注意をそらす要因になりかねないため、できる限り安楽な姿勢なるように整えてきましょう。

 

②口腔ケア

「歯磨き」は食後にするイメージですが、

 

食べる前にこそ、「口腔ケア」の必要があります!

 

汚れていないように見えても、口の中には細菌がたくさんいます。

「口の中の細菌の量は、肛門や陰部と変わらない」という研究結果もあります。

 

そんなにたくさんの細菌がついたままの口で食べる

⇒食べ物が細菌と一緒に飲み込まれる

誤嚥した場合、細菌も一緒に誤嚥

誤嚥性肺炎

 

できる限り口の中をきれいにしてから食べることで、もし誤嚥してしまったとしても、肺炎を引き起こすリスクを軽減することができます。

食後の口腔ケアよりも、食前の口腔ケアを丁寧に・気合をいれて行いましょう!

 

食後の口腔ケアももちろん大切です。

食後の口腔ケアはどちらかといえば唾液誤嚥による肺炎リスクを軽減させるのに有用です。

 

「食べる前に口腔ケア

食べた後にも口腔ケア」

誤嚥性肺炎を防ぐために、是非これを定着化させていきましょう!

 

③食事の介助

・まずは覚醒状態を確認します。

開眼しているか、反応はいつもに比べてどうかを評価します。

あまりに傾眠が強いのなら、一旦臥床させて時間をおいて食事にする方が安全です。

 

・覚醒状態を見ながら、「これから食事」と分かるような声掛け・刺激入力を行いましょう。

「〇〇さん、お昼ごはんですよ

という声掛けだけで「今から昼ごはん」と認識できる方はこの声掛けで十分です。

 

声掛けだけで認識が不十分な方には、+αの刺激入力が必要です。

・スプーンやおわん、コップを持ってもらう

・食事への視線・注意の誘導を行う

・口唇にスプーンをあてる

・一口たべものを口の中へ入れる

・周りの人がご飯を食べ始める

などなど、その方に効果のある刺激入力は人それぞれです。

その方ごとに「食事スイッチ」が入るポイントは異なります。

この辺りの刺激をしっかり行うと、口が開きやすくなったり、一部自力摂取してくださる方もいらっしゃいます。

 

ごはんですよ」「お肉ですよ」などの声掛けは、ただ丁寧だから行うのではなく、先行期へのアプローチです。

嚥下の5期モデルは1口ごとに行われるので、1口ごとに「先行期」があります。

1口ごとにしっかりと認識して食べてもらうことが、スムーズな嚥下につながります。

「声掛け」や種々の「刺激入力」をしながら、介助していきましょう。

 

・介助する時、スプーンは下側から口唇へ近づけましょう。

上から行くとスプーンを追いかけて頸部伸展を助長していまいます。

座っている方に介助者が立って介助を行うと、スプーンは上から行きがちです。

職場環境にもよるでしょうが、食事介助は座って行うのことで、安全な介助に繋がります。

 

スプーンは正中からまっすぐに口腔内へ入れます。

口唇閉鎖し上口唇で食べ物をぬぐい取ってもらいながら、スプーンを抜き取ります。

一口量はティースプーン1杯程度を基本に、その方の機能や特性に応じて評価・変更していってください。

 

開口したまま口唇閉鎖をしない方は、舌や下口唇をスプーンの背で刺激してみてください。

刺激入力で閉鎖が誘導できなければ、口唇を徒手的に介助して口唇閉鎖を行います。

f:id:ryok-kobayashi:20200709194914p:plain

口唇閉鎖の介助

介助者が右利きの時は、左手の人差し指で上口唇、中指で下口唇をそれぞれ上下に押し上げる/押し下げることで口唇閉鎖が介助できます。

 

飲み込んだことを確認して、次の一口を入れましょう。

当たり前のことのように思いますが、この部分が守れるかどうかで食事介助の安全性が大きく変わります。

口の中に残っていなくても、のどにそのまま残っているかもしれません。

そのままの状態で次の一口が入れられてしまうと、のどにたまっていたものがあふれて誤嚥するかもしれません。

たまっている量が多ければ、次の一口が入ってきたことで咽頭がふさがって窒息してしまうかもしれません。

 

「ごっくん」の音、のどぼとけが動いたかをしっかり確認して、次の一口をいれましょう。

音が聞こえない/女性だとのどぼとけが動いたか分からない場合は、どの軟骨がある部分に触れながら介助を行うとよいです。

 

飲み込んだのを確認しないで、介助者のペースで介助を進めてしまうことが誤嚥/窒息に繋がります。

人手不足の現場で、時間に追われながら仕事をしなければいけない現状は十分に分かっています。

しかし、こと食事介助に関しては、安全を、ひいては命を守るために、疎かにしてはならない部分があります。

その部分こそが、「飲み込んでから、次の一口を入れる」ことです。

 

交互嚥下を行いましょう。

ごはんだけ、おかずだけ、と1点食いさせるのではなく、三角食べで介助を行いましょう。

同じ物性の食べ物が続くと、咽頭残留しやすくなる可能性があります。

2.3口に1度は汁ものやお茶を飲むことで、のどにたまった食べ物を流す効果が期待できます。

 

④口腔ケア

食事が終わったら、もう一度口腔ケアです。

食前にがっつりと丁寧に口腔ケアを行っているので、食後の口腔ケアは食物残渣をとるのがメインです。

 

⑤姿勢を戻す

食事の姿勢から、安静時の姿勢へと戻しましょう。これは主にベッド上で食事をとっている方です。

60度程度に上げていたのなら、30度程度にまで下げましょう。

食道からの逆流リスクがあるため、フラットにはしません。

 

おわりに…

ここにまとめさせていただいたのは、あくまで「基本」です。

ケアは「安全」を担保した上で、利用者さまに合わせて方法が違ってしかるべきです。

その方の機能や特性をしっかり評価・把握して、その方にあった方法を探していきましょう!

 

参考文献

 

*1:sole-ground cotact and sitting lg position influence suprahyoid muscle activity during swallowing of liquids

プロセスモデル-咀嚼嚥下とstageⅡtransport-

 

咀嚼を必要とする嚥下=プロセスモデル

f:id:ryok-kobayashi:20200708183712p:plain

プロセスモデル

液体嚥下やゼリー・ペースト食の丸飲みの嚥下様式は5期モデルで説明できます。

しかし、咀嚼を必要とする嚥下では、ちがった要素が入ってきます。

 

嚥下5期モデルでは、口腔内に未咀嚼の食物が残留している状態でありながら、咀嚼された食物を嚥下するという動作は介在していません。

 

その部分を入れてモデル化されているのがプロセスモデルです。

 

咀嚼嚥下のプロセスモデルで特徴的な、

stage Ⅰ transport ⇒processig(咀嚼)⇒stage Ⅱ trasport

に焦点を当ててまとめていきます。

 

Stage Ⅰ transport

 

食物捕食後の舌によって、食物を臼歯まで運ぶ運動を指す。

捕食後に食物を舌背上にのせ、開口とともに舌全体が後下方へと動き、その後外側へ回転することで食物を下顎の咬合面へとのせる。舌の「プルバック」運動(pull back)と呼ばれている。

プロセスモデルで考える咀嚼嚥下リハビリテーション 松尾浩一郎

食べ物が口の中に入った後、咀嚼をするために臼歯部咬合面へ食べ物を乗せなければなりません。

その動きがstage Ⅰ transportです。

例え歯がそろっていても、舌運動が不十分でこの動きがうまくいかなければ、咀嚼し食塊形成を行うことができません。

stage Ⅰ trasportのために必要なのは、舌の左右運動の動きです。

 

この動きが可能かどうか評価するには、舌側縁にスポンジブラシ等で触れて軽く圧迫し、押し返す動きがどの程度であるかみるとよいです。

 

proessing(咀嚼)

 

捕食した食物を咀嚼して粉砕し、唾液と混ぜ湿潤させ、嚥下しやすい食塊とするプロセスである。咀嚼は顎運動だけでなく、それに協調した舌、舌骨、軟口蓋などの動きによって成り立っている。

プロセスモデルで考える咀嚼嚥下リハビリテーション 松尾浩一郎

 

舌の動き

咀嚼中舌は下顎の運動に連動しながら、前後・左右・上下方向へ動き、そこに回転運動も加わっています。

舌は頬とともに、噛んだ時に咬合面から外側に押し出された食べ物を咬合面上に戻すように内側へと押しています。

また、舌は咀嚼中の回転運動により、咀嚼した食べ物の一部、または全体を反対側へと運び、stage Ⅱ transportのために舌背上へと食物上に乗せる動きをしています。

 

軟口蓋の動き

f:id:ryok-kobayashi:20200708191030j:plain

軟口蓋の位置

軟口蓋は咀嚼中、stage Ⅱ transport中下顎の運動に連動して挙上しています。

しかしこの挙上は強いものではなく、鼻咽腔を閉鎖しない程度の軽いものです。

 

咀嚼中軟口蓋は開口とともに挙上し、閉口とともに下降しています。

この咀嚼中の軟口蓋の運動は吸気時の方が呼気時よりも頻度が高く、吸気時の上気道確保のためではないかと考えられています。

舌骨の動き

舌骨は舌骨上筋、舌骨舌筋群を介して頭蓋、下顎、胸骨、甲状軟骨をつなげています。

その筋肉のつながりによって、食事の際の下顎と舌の運動をコントロールする役割を、舌骨は担っています。

 

舌骨も咀嚼中動いていますが、下顎や舌の運動ほど一定していません。

 

stage Ⅱ transport

 

咀嚼された食べ物は、唾液に混ぜられてある程度嚥下できる性状になると、舌の中央部に集められ、舌と口蓋によって絞り込まれるように中咽頭へと送り込まれます。この送り込みがstage Ⅱ transportと呼ばれる。

プロセスモデルで考える咀嚼嚥下リハビリテーション 松尾浩一郎

この咽頭への送り込みは、口腔内にまだ食べ物が残っている状態でも生じます。

送り込まれた食塊は、喉頭蓋谷で個別の固有量まで貯留した時、まだ口腔内に食べ物があっても嚥下されます。

 

プロセスモデルの咀嚼/stage Ⅱ transport が図で斜めに区切られていることが示すように、この二つは並行して行われています。

 

この部分が、液体・丸呑みのモデルと大きくことなります。

液体嚥下では、口腔内に食塊がある際は口峡は閉鎖して咽頭への流入を防いでいます。

プロセスモデルでは、口峡は開いています。

咀嚼しながら、処理の終わったものはじわじわと咽頭へ送り込まれています。

 

ちなみに咀嚼しているものが咽頭へ送り込まれているかどうかは、喉頭の運動の有無・口腔底に触れて運動の有無を観察してみましょう。

喉頭が動いていて、口腔底に動きがあれば、食塊は咽頭へ送り込まれていると考えられます。

 

「牛乳を噛んで飲む」のは危ない

f:id:ryok-kobayashi:20200708193841j:plain

液体嚥下とプロセスモデルでは、口腔に食塊がある時の口峡閉鎖の有無に違いがあります。

また、咀嚼することでstage Ⅱ transportが生じ、食塊は徐々に咽頭流入していきます。

もちろん、咀嚼回数が増えるほど、咽頭への流入量は増加します。

そのため歯の喪失、義歯の使用などで咀嚼回数が増加+咽頭感覚閾値が上昇している高齢者は誤嚥のリスクが高まります。

のどに貯留できる量を超えて食塊が流入してしまえば、あふれて気管に入ってしまうかもしれません。

また嚥下反射惹起遅延により、咽頭にたくさん食塊がある状態で嚥下反射が起こってしまい、あふれかえったものを誤嚥してしまうことが想定されます。

 

たまに「牛乳は噛んで飲むとよい」という高齢者の方がいらっしゃいます。

これは嚥下としてはとてもリスキーです。

 

液体はただでさえ凝集性と付着性が低く、流入速度が速いため誤嚥しやすいです。

そんな物性を咀嚼してしまうと、stage Ⅱ transportで咽頭流入してしまい、そのまま早いスピードで喉頭へ落ちていき、スピードに喉頭運動がついていけなければ誤嚥していまいます。

 

安全に食べるには、「液体」は「液体」として、「固形物」は「固形物」として処理する必要があります。

 

認知機能の低下などで、液体を咀嚼嚥下で、固形物を液体嚥下で処理されてしまうような方がいらっしゃいます。

 

液体をプロセスモデルで処理すると、誤嚥が生じるリスクがあります。

反対に固形物を液体として処理すると、つまりは丸呑みすることになります。

その場合は「窒息」のリスクが高くなります。

 

「認知機能低下がある場合、形態は1段階下げるのが無難」と言われるのは、この辺り理由もあります。

 

「この方の口、のどで今食塊はどうなっているのかな?」

と見ながら食事介助を行うと、一段階上の食事介助につながります。

その評価をやってみるのに、プロセスモデルはとても重要な知識です!

 

参考文献

 

 

アルツハイマー型認知症のコミュニケーション障害

 

コミュニケーション障害とは?

コミュニケーションとは、ラテン語のコミュニカーレ(communicare)が語源であるとされ、複数者間で何らかの情報や意思を伝達し、それを共有する活動を指す。

認知症のコミュニケーション障害 その評価と支援:三村蔣・飯干紀代子

言語・非言語にかかわらず、何等かの情報や意思を相手に伝え・共有することがコミュニケーションです。

コミュニケーションは脳の様々な部位が、場面に応じネットワークを形成しながら適正に働くことによって成立します。

 

下の図は「スピーチ・チェーン」という、音声言語でのコミュニケーション過程を図式化したものです。

f:id:ryok-kobayashi:20200706221417p:plain

スピーチチェーン

話し手は話す内容を考え、それを言語化し、言葉を運動プログラムに変換し、各運動器官が適切に運動して言葉を発します。
利き手は空気の振動を音としてとらえ、それを言語音⇒言葉として認知し、その意味を理解する。理解した上で、相手の気持ちや関係から相槌をうったり、適切な返答を考える必要があります。

 

この過程のどこに機能低下が生じても、円滑なコミュニケーションは難しくなります。

実に多くの機能を必要とするコミュニケーションは、そのため様々な機能低下により「コミュニケーション障害」が生じてしまいます。

 

 

コミュニケーション障害の生じる代表的な原因には以下のものがあります。

失語症(言語理解・表出=スピーチ・チェーンの言語的過程の障害)

・構音障害(いわゆる「ろれつが回らない」=話す方の生理学的過程の障害)

・難聴(「聞こえない」こともコミュニケーション障害に入ります=聞く方の生理学的過程の障害)

ASD自閉症スペクトラム)(「心の理論」の障害・婉曲表現、比喩表現の理解困難、いわゆる「空気が読めない」発言や、字義通りの解釈、ターンテイキングの消失など)

・右半球損傷・前頭葉損傷(推論による理解の困難・要点把握の困難・話題の維持困難・ターンテイキングの消失・プロソディ障害・婉曲表現、比喩表現の理解困難、いわゆる「空気が読めない」発言、感情の理解・表出の困難など)

認知症(失語的症状を生じることがある。認知機能の低下)

 

今回は認知症、特にアルツハイマー認知症のコミュニケーション障害についてまとめていきます。

 

ADのコミュニケーション障害の特徴

f:id:ryok-kobayashi:20200706225343p:plain

認知症のコミュニケーション障害の要因

認知症のコミュニケーション障害には、上の図に挙げたような様々な要因が重なっています。

 

まずは言語機能からみていきましょう。

 言語機能低下によって生じる症状

AD(アルツハイマー認知症)の言語機能の異常としては、失名詞、曖昧な表現の多様、迂回操作、首尾一貫性の障害、流暢だが空虚な発話、話の繰り返し、文が完結しない、聴理解・読解の障害などがあげられます。*1

 

失名詞とは「言おうと思った単語が出てこない症状」のことを言います。

 

例えば「りんご」を言おうとして、

「あー、あれだよ。あの、赤くて丸くて、調子悪いときにすりおろしたりするやつ」

と、「りんご」という名称は出てこないけれど、それを説明する言葉は出てくる状態です。

 

この失名詞の症状のために、次に続く「曖昧な表現」や「迂回」「流暢だが空虚な発話」が生じます。

 

話している言葉の中で、きちんと情報を担っている言葉のことを「実質語」と言います。

1つの発話の中にこの「実質語」が多く含まれているほど、その発話が伝える情報量は多くなります。反対に「実質語」が少なければ、発話量が多くても情報量が少ない「空虚な」発話であると考えます。

 

ADではこの「実質語」が失名詞症状のため喚語できず、代償的に代名詞を多用し補っていくため、空虚な発話になってしまいます。

名詞の喚語は困難になりますが、音韻面は保たれているため流暢で長い文を話すことができます。文法上の誤りも少ないです。

遠目から見ると何も問題なくコミュニケーションをとれているようで、話の情報量はとても少ない、ということがよく生じます。

 

「聴理解・読解」の障害認知症の進行に伴い出現してきます。

これはアルツハイマー認知症の脳細胞の変性は側頭葉ー頭頂葉を中心に広がっていくことによります。

側頭葉には言葉の意味を担う部分があり、変性がその部分に及ぶと「言葉の理解」が困難になっていきます。

 

 

ある言葉に対して反応が悪い、理解できてなさそうだと感じたら、違う言葉で言い換えて反応を見てみてください。

もしかするとその言葉は、その方の中で失われてしまった言葉かもしれません。

言い換える言葉は、その方が良く使う・なじみのある言い方が効果的です。

 

注意機能低下・情報処理能力低下による症状

首尾一貫性の欠如や話の繰り返しは、記憶やワーキングメモリーに関連する症状です。

 

単純に話したことを忘れてしまって、もう一度同じ話をしてしまうのは「近時記憶の低下」として分かりやすい症状です。

ちなみに、近時記憶が何だったかについてはこちらをご参照ください。

 

ryo-kobayashi.hatenablog.com

 

話の首尾一貫性の欠如、どんどん話題が変わってしまう、という症状には、近時記憶に加えワーキングメモリーの低下も影響しています。

私たちが質問に対する答えをする時、何かテーマに沿った話をする時、一時的に頭の中にその「質問」や「テーマ」を把持しておく必要があります。

答えを考えて話すまでの間、「質問」や「テーマ」が把持できているから、私たちは質問に沿った応答が可能です。

 

この時頭の中では、

①「質問」「テーマ」の把持

②内容理解

③返答を考える

という3つの作業を同時に行っています。

 

このように同時にいくつかの作業を行うときに働くのがワーキングメモリーです。

 

ADではこのワーキングメモリーの低下により、

・答えを考えているうちに「テーマ」が何だったかわからなくなった

・把持に精いっぱいで理解が追い付かない/返答を考えるまでいかない

⇒返事ができない/曖昧・食い違った返答(取り繕い)

等の反応を生じることがあります。

 

このワーキングメモリーの低下に関連するのが、「情報処理能力」の低下です。

この能力は、パソコンでいうCPUで、アナログで言えば机の広さにあたります。

 

ハイスペックなパソコンは、いくつもの作業を同時に・素早くできます。

広い机では、一か所で本を開いておいて、コーヒーも置いて、気分転換用に別の部分で絵を描いて…と複数の作業を同時できます。

 

しかし、スペックの低いパソコンはYOUTUBE一つ開いても固まってしまって中々動かない。

狭い机ではコーヒーだけ置いたらもう何もおけません。

 

認知機能低下した方のCPUは、動画で固まってしまうパソコンのようなものです。

一つ一つの情報を処理するのに時間がかかります。

その上に複数情報なんて負荷がかかると、固まってしまいます。

 

だから、話のつじつまが合わなくなります。

一つ一つの情報を処理しきれていないためです。

 

認知症の方の情報処理能力に配慮して話すには、以下のようなテクニックがあります。

①情報は1つずつ(情報処理能力の負担を軽くする)

②代名詞を避ける(「それ」の内容の把持は記憶・ワーキングメモリーに負担をかけます)

③簡単な短文で話す・要点を整理して話す

④繰り返し説明する

 

ADの重症度と談話の特徴・かかわり方のポイント

①初期・軽度

発話は流暢であり、発音や文法等の言語の形式的側面は保たれるため、一見通常のコミュニケーションが可能なように見えます。

しかし、喚語困難(失名詞による言いたい言葉が出てこない)や、複雑な内容の理解力低下が認められます。

 

 

コミュニケーションにおける問題点の例

・考えをまとめることができず、答えにたどり着くまでに横道にそれてしまう。

・質問に対して具体的に答えることができず、曖昧に答えることが多くなる。

・課題が複数あると、何から始めていいかわからず手が付けられない。

・抽象的な内容・記憶に負荷がかかる内容への反応の遅延・困難

 

関わり方のポイント

・聞き手は患者の話を途中でまとめて整理する。横道にそれても否定せずに誘導する。紙に書きながら進めると、どこまで話したか自分で確認できる。

あらかじめ患者の家族や生活歴、趣味について情報収集しておく。答えられない時はわかりやすく教える。

⇒オープンクエッション/選択肢の提示/クローズドクエッション、と質問形式を変えて評価していくこともできる。

・課題を一度に提示せず、複数の小さいステップで進めるようにする。

今何をやっているかを常に意識させる。スケジュールや手順を書いておくと見通しもできて安心して取り組むことができる。

⇒記憶やワーキングメモリーを補うのに、文字情報の使用は有効!

・理解できていない様子であれば繰り返す。伝わったかどうかを確認する話す速さや、間合いの取り方にも気を付ける。

⇒情報処理能力の低下=言葉は一瞬で消えてしまうので、速い話を連続して処理していくのはとても大変!

 

②中期・中等度

喚語困難が進行し、迂言(意図した語を別の言い方で説明しようとする)や錯語(言おうとした元の言葉が推測できる程度の言い間違い)、保続(一度言った言葉が不適切な場面で繰り返される)が顕著となり、発話内容が空疎(empty speech)になり、情報伝達の質が低下します。

聴理解・読解ともに低下し、複雑な内容の理解・比喩表現や慣用表現の理解に困難を生じることがあります。

一方で音読や復唱能力は保たれることが多いです。

 

コミュニケーションにおける問題点の例

・質問の聞き返しが多い

・話しているうちに自分が言ったことを忘れて、同じことを繰り返し言う

記憶錯誤(事実とは違って変形された誤記憶、事実ではない偽記憶)、作話(実際にはないことを真実と思って話す)がみられ、話の内容がテーマからそれる。

視覚認知障害による見間違い、注意が違うところにそれてしまう。

 

関わり方のポイント

 ・「単語レベル」で区切って伝える。ジェスチャー・イラスト・書字などの代償手段の併用

なじみのある言葉を使って伝える

同じことを言っても指摘しない。受け止めて次に誘導する。

作話が見られても否定せず、助長もせず受け止める。話された内容からテーマにそった話題へと誘導する。テーマを紙に書いておく・テーマに関連する具体物があればそれを目の前に提示する。

・視覚的課題では特徴的な、わかりやすいものを用いる。1枚の絵でも、全体の中から一部分へ注意を向けることは困難になるため、印をつける・指さし等で注意を向ける工夫をする。

 

③後期・重度

新造語(何を言おうとしたか推測できない言葉)やジャルゴン(新造語が連続し、何をしたかわからない発話)を呈することもあり、同語反復(自分が発した語の繰り返し)、語間代(語尾の1、2音節の強迫的な繰り返し)、反響言語(オウム返し)、押韻常同パターン(同じような語が少しずつ形を変えて出現する)などが出現し、理解力も顕著に低下する。

 簡単な内容の理解も困難となり、音声言語での意思疎通が難しくなる。パターン化した日常会話は可能なことがある。

発話意欲の低下により、有意味語の産生が乏しくなっていく。

終末期には緘黙状態(明瞭な言語反応が得られない状態)に陥る。

 

コミュニケーションにおける問題点の例

・聞き手の意図したことと地合うことを答える

・注意の集中・持続ができずあきらめてしまう

・発話意欲が乏しくなり、自発性が低下する

・生理的な訴えを受け取ることが難しくなる

 

関わり方のポイント

yes/noでこたえられる形式、選択式での質問にする。

答えるときも発話+指さしなどを併用する。

・雑音や音楽などのない静かな環境で話す。

・話しかける際は、声掛け、真正面から視線をとらえる、等確実に注意を向けてもらう。

・注意がそれる、保続が出た際は一度休憩をはさむ。

・挨拶や自分の名前等自動化された発話は保たれる。保たれた機能を活かす。

・言語によるコミュニケーションだけでなく、表情や声の調子等から感情を探る、伝える。

 

参考文献

 

 

 

 

 

*1:痴呆患者とのコミュニケーション―最近の研究とコミュニケーション・ケアの提言 綿森敏子

嚥下のモデル①ー認知症と先行期障害・その対応ー

 

 

 

嚥下のモデル

今回は嚥下のモデルについてまとめていきます。

嚥下のモデルには大きく「液体嚥下のモデル」と「咀嚼嚥下のモデル」があります。

まずは「液体嚥下のモデル」についてやっていきましょう!

 

液体嚥下のモデルには、「3期モデル」「4期モデル」「5期モデル」があります。

 

3期モデル、4期モデルは生理モデルです。

液体やゼリー・ペーストを丸呑みする際の嚥下動態をモデル化したものです。

注意点としては、このモデルは自由嚥下ではなく「命令嚥下」であるということです。

 

「命令嚥下」とはVFやMWSTの時に行う方法です。

「私が飲んでください、と言ったら飲み込んでくださいね」と教示をして飲み込んでもらいます。

 

f:id:ryok-kobayashi:20200706154654p:plain

嚥下モデル

 

 3期モデルでは、その名前の通り嚥下動態が3つに分かれます。

4期モデルでは3期モデルの「口腔期」が「口腔準備期」と「口腔送り込み期」の2つに分けられています。

臨床モデルである5期モデルでは、4期モデルに「先行期」が加えられています。

 

ここでは実際臨床で使われることの多い5期モデルで、それぞれの「期」について説明していきます。

 

先行期

 

視覚や嗅覚によって食べ物を認知し「どのくらい」「何を」食べるかを決定する時期であり「認知期」とも呼ばれる。また「どうやって」「どの程度」食べるかを実行する段階でもあり、手や食具を用いて口に運ぶという行為も包含される。次に続く口腔準備期を調整すると考えられている。視覚や嗅覚が唾液の分泌を亢進し、食塊形成や食塊移送を促進する。また食事に関連した感覚は、例えばコップとストローで上肢や下顎、舌運動を調整するといった食事行動の運動を制御する。また環境や食事のおいしさや食欲といった要因が摂食行動や嚥下の頻度に影響する。

言語聴覚士のための摂食・嚥下障害学p32

食べ物を口に入れる前から「食事」は始まっています。

今が「食事の時間」であること、これから「食べる」ことを認識することが、スムーズ

な「食事」には必要不可欠です。

先行期の段階での食物の認知が不十分であると、認知症の方でよくある「開口拒否」が生じることあります。

 

「寝ている時に食べさせてはいけない」というのは、覚醒状態が悪いとこの「先行期」がほとんど働かない状態で食事をすることになるからです。

視覚や嗅覚による感覚情報で、私たちの体は「今から食べるぞ」と準備を始めます。

準備をしているところに食べ物が入ってくるので、スムーズに動けるのです。

食物の認知なしにいきなり食べ物が咽頭に入ると、嚥下反射が弱かったり、嚥下のタイミングがずれてしまうことあります。

 

覚醒不良で食べ物を受け入れる準備の整っていないところに食べ物を入れるのは、体にとって不意打ちをくらわされるのと同じです。

不意打ちに対応できる嚥下機能がある方ならば対応できますが、そうでない方はうまく処理できず、誤嚥してしまう可能性が高くなります。

 

食事時間に傾眠されてしまわれる方は、睡眠リズムの評価や離床する時間を検討してみるとよいかと思います。

食事前の離床時間が長すぎても疲れて寝てしまうかもしれませんし、直前に起こしてもうとうとしている方もいると思います。

その方にとってベストな時間は、地道な評価が必要です。

 

もう一つ、先行期の問題でよくあるのは「口腔期が開始しない/飲み込まない」状態です。

これは口腔期の問題ではないか?と考える新人セラピストが多いです。

実際私も新人の頃は「舌の筋力・巧緻性低下で食塊形成・食塊移送がうまくいっていない」と評価して、上司から懇切丁寧なフィードバックを頂きました。

 

端的に言えば、「飲み込もうとしても飲み込めない(送り込めない)」のと、「飲み込まない」のでは、起こっていることが全く違うのです。

 

「飲み込めない」のは口腔期の問題で、舌や頬の運動的な機能低下によるものと考えられます。

しかし「飲み込まない」「飲み込もうとする動作が生じない」のは、舌や頬の運動以前問題です。

 

嚥下機能が健常である私たちでも、口に食べ物が入っても口腔期が生じない時があります。

例えば、うとうとしている時に、誰かがいたずらでお菓子を口に入れたらどうでしょう

しっかり噛んで飲み込めるでしょうか?少し怪しいかと思います。

 

うとうとしている時=食物認知がしっかりできていない状態です。

 

この「先行期」でしっかりと食べ物を認識できていないと、そのあとの咀嚼して飲み込むまでの一連の動作は開始しないことがあります。

 

大切なので重ねて言いますが、

スムーズな嚥下には、食物の認知がしっかりとしていることが不可欠です!

言い換えれば「今から食べるぞ!」と準備ができている事が大切です!

 

代償法の1つである「嚥下の意識化」は、この先行期へのアプローチでもあります。

 

嚥下障害というとどうしても口腔期以降に目が向きがちですが、

「この口腔期の拙劣さは先行期の影響があるのかもしれない!」

と考えてみることはとても大切です。

以下の表に、代表的な先行期の症状をまとめています。

 

f:id:ryok-kobayashi:20200706172747p:plain

先行期の症状

認知症は進行していくと嚥下の「先行期」障害を呈する代表的な疾患です。

脳血管型認知症やLewy小体型認知症で口腔期や咽頭期の障害が生じやすいのに対し、アルツハイマー認知症では咽頭期の機能は比較的保たれやすいです。

半面、アルツハイマー認知症では先行期の症状が前景化しやすいです。

 

開口拒否や口腔内へのため込みが認められるのも、進行したアルツハイマー認知症で多い印象を持っています。

開口拒否もただ口をつぐんでしまうのか、咬反射的な反応なのかで対応が変わってきます。

 

開口拒否への対応

原始反射的な反応が生じてしまっているのならば、吸啜反射を利用して「吸う」動作が可能か評価してみるとよいと思います。

スプーンでの捕食が困難でも、ストローを口元にあてるとぐびぐび飲み始めるかたがいらっしゃいます。

 

 

反射的ではないけれど常時噛みしめてしまっている場合は、K-point刺激を試してみましょう。

 

f:id:ryok-kobayashi:20200706174059j:plain

K-point刺激法

下口唇を押し下げて、歯列をなぞりながら奥歯まで進み、奥歯のさらに奥の歯茎の部分に触れてみます。

開かない場合は左右両側試してみるとよいと思います。噛みつきには十分注意してください。

 

他にも下口唇を押し下げる(口腔前堤に人差し指をいれて押し下げる)、

下顎を介助して開口を促す方法(下顎体に人差し指、下顎枝に親指を添わせて回転運動を介助する)があります。

 

 

ため込みへの対応

ため込んだまま舌の動きが止まっている場合、空のスプーンで舌背を刺激してみましょう。

「口の中に食べ物がある」との認識を高めるための、刺激入力になります。

この刺激がきっかけになって、口腔期が開始されることがあります。

 

舌の上にマーガリンを塗るようなイメージで、舌全体を触ってみてください。

あまり奥の方を触ると咽頭反射・嘔吐反射が出てしまうリスクがあるので注意してください。

 

アルツハイマー認知症の中には、奥舌が盛り上がって口の中の食べ物をのどにおくるのを阻んでいる方がいらっしゃいます。

その場合は、咽頭期の機能が保たれていることを評価したうえで、盛り上がっている奥舌を押し下げて食物を入れる方法が有効です。

 

咽頭まで食べ物が入ってしまえば、そこからは反射的な運動になります。

口腔期をスキップしてしまえば、口から食べることが可能な方は一定数いらっしゃいます。

 

スプーンで奥舌を押さえて食塊を流入させるのが難しい場合は、シリンジや、シリンジの先に吸引チューブをつけたものを用いて咽頭へ直接食べ物・液体を流入させてみると、口腔期がスキップできます。

 

医療・介護施設でたまに使われている「らくらくごっくん」という商品があります。

 

 

「無理やりのどまで押し込んでいる」「無理やり食べさせている」と悪名高いものではありましたが、咽頭期が保たれていて口腔期が障害されている場合や、先行期障害で奥舌での抵抗がある方に経口摂取を継続する場合には有効なことがあります。 

 

チューブ部分を奥舌を超えた部分まで入れることで、食塊形成や食塊移送をスキップすることができるのです。

舌運動が拙劣で食べられない、という方は、咽頭期が保たれているならこれを使って経口摂取が可能になります。

奥舌が邪魔をして送り込めない、という場合も、チューブによって咽頭に直接食べ物を入れられれば、あとは嚥下機構が自動的に反射を起こし飲み込むことができます。

 

もちろん一口量のコントロールをしなければ窒息のリスクがありますが、

対象とする方の評価をしっかりと行ったうえであれば、経口摂取を続ける味方となる商品です。

咽頭期に障害がなく、開口幅が狭くて奥舌の抵抗があって食事介助に一苦労するような方は、一度試してみる価値はあるかと思います。

 

嗜好の変化

またアルツハイマー認知症では、嗜好が甘味に偏ることが知られています。

昨今の栄養補助食品はとても甘いものが多いため、他のものは食べなくても甘いものなら食べる方ならば、栄養補助食品をフル活用して栄養を入れていくことは可能です。

 

進行した認知症の方には、栄養バランスよりも「とりあえずカロリーを何とかいれないと!」という状況の方も多いです。

 

ちゃんとしたご飯を食べなきゃいけない!と思い込んで対応すると、対応する側もご本人自身もつらく苦しくなってしまうことがあります。

 

そのような方の場合は、食べてくれるものを食べてもらう」という対処が落としどころだと私は考えます。

 

おわりに…

先行期についてかなりの量で書かせていただきました。

というのも、先行期は本当に軽く見積もられがちですが、後に続く嚥下動作への影響がとても大きいからです!

 

 「今から食べる」という認識を土台として、嚥下動作は開始されます。

特に認知症の方は、この認識が通常の刺激量では不十分になってしまったり、途中で途切れてしまうことがあります。

そのような方々には、「今は食事」「今、食べている」という感覚刺激を、その方に合った形式で入力し続ける必要があります。

 

その刺激は唇にスプーンを当ててみることだったり、目の前でだれかがご飯を食べていることだったり、上肢での動作をちょっと手伝ってもらうことだったり、人それぞれ多様です。

 

そんなちょっとした事をトリガーに、「今は食事」のスイッチが入ってスムーズに食べられる方々がいます。

 

「食べない」「止まってしまう」「口が開かない」

そのような方々への対応には頭を悩ませることも多いですが、何かしらその方のトリガーがあるはずです。

 

なるべく多くの方に、なるべく長く「口から食べる」「幸せ」を享受してもらえるように、大変なこともありますが試行錯誤を重ねていきましょう!

 

参考文献

 

 

 

 
 

認知症の高次脳機能評価

 

認知症高次脳機能障害か?

f:id:ryok-kobayashi:20200703121604p:plain

日本の高齢化率

日本はかつてない高齢化社会へと突入しています。

2018年に高齢化率は28%を超え、実に人口の3割近くが高齢者という社会になっています。

認知症」の最大のリスクファクターは「加齢」です。

そのため高齢者人口が増加するに伴い、認知症患者数も増えていくことになります。

認知症患者数が増加することで、医療/介護問わず認知症を持つ患者/利用者に接することが多くなっていきます。

認知症をもつ方の認知機能を評価し、その方にとって適切なケア・リハビリを提供することは、どの現場においても求められるようになってきています。

 

さて、認知症の方の「認知機能」を評価する際によく出てくる疑問があります。

それは、「認知機能と高次脳機能は同じか?認知症高次脳機能障害か?」ということです。

 

私が新人時代に先輩・上司から教わった考えは、

「認知機能は高次脳機能と言い換えて構わないし、認知症高次脳機能障害に含まれる」

というものです。

 

そもそもの認知機能の定義は以下のようになっています。

理解、判断、論理などの知的機能のこと。


認知とは理解・判断・論理などの知的機能を指し、精神医学的には知能に類似した意味であり、心理学では知覚を中心とした概念です。心理学的には知覚・判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解といったさまざまな要素が含まれますが、これらを包括して認知と呼ばれるようになりました。

 

認知機能 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

 下線の部分は、まさに「高次脳機能」を指しています。

それでもはじめに挙げたような疑問が出てくるのは、「認知機能の低下=認知症」とするイメージがあまりにも強いこと。

また、高次脳機能障害には行政的な定義があり、その定義のイメージが強いことによるかと思います。

 

言葉の定義としては、認知機能と高次脳機能は重複するものと考えてよいです。

とすれば、認知症もまた、一種の高次脳機能障害であると考えることができます。

であるならば、認知症も高次脳機能リハと同様の考えで評価・訓練立案ができるはずです。

 

しかし、それがそう簡単にいかないことは認知症を持つ方のリハビリに携わったことのある方なら実感を持ってご存じかと思います。

 

 

認知症の高次脳機能評価・目標設定の難しさ

 

認知症の高次脳機能評価・目標設定の難しさには大きく2つの理由があると考えます。

1つ目は認知症は進行性疾患である」ためです。

 

事故や脳血管障害等による脳の損傷は、基本的に受傷時最も脳が傷ついています。

そこに脳の浮腫が加わっている方の場合、浮腫が徐々に取れていくことによって回復していく機能があります。また、そうでなくても神経細胞は徐々に別のネットワークを形成していき、損なわれた機能を代償していきます。

事故・脳血管障害等による脳の損傷は、そのため基本的に「右肩上がり」のモデルになります。

そこでのリハビリは機能回復をメインとしたものになり、目標は可能な限り「元と同じ生活に戻る」ことになることが多いです。

 

反対に、認知症は「右肩下がり」のモデルです。

脳の神経細胞は徐々に変性していき、その部分が担う機能はゆっくりと失われていきます。

そこでのリハビリは機能維持や、認知機能評価を行った上で、快適な生活を送っていけるような環境調整となっていきます。

私たちリハ職は脳血管疾患モデルでリハビリを考えがちです。

叩き込まれたその考え方が、認知症を考えるときには邪魔になっていまいます。

 

2つ目は「基盤的認知機能低下の影響」です。

認知症は脳の変性部位との対応が可能な症状もありますが、ベースは徐々に基盤的認知機能が低下していくものです。

「基盤的認知機能」が何かについては以下の記事をご覧ください。

 

ryo-kobayashi.hatenablog.com

 

高次脳機能障害でも、「基盤的認知機能の低下」が重度の方の評価に難渋することは多いかと思います。

その理由には、標準的な検査バッテリーが使えないこと、使えたとしてもその結果に基盤的認知機能の低下がどの程度影響しているのかの判断が難しいこと、があります。

 

例えば、注意機能の評価のためにCATをとったとします。

結果に低下があったとしても、その方の耐久性や覚醒レベルに問題があれば、その結果が純粋な注意機能の低下を反映しているとは言い難いです。

 

事故や脳血管障害による損傷ならば、基盤的認知機能の回復を待って検査バッテリーを使うこともできますが、認知症は先ほど述べたように「右肩下がり」のモデルです。

はじめに検査バッテリーにのるくらいの力がなければ、その先も検査バッテリーを使える目は少ないと考えたほうが無難です。

 

検査バッテリーによる検査ができない/できてもどこまでがそれ自体の影響で、どの程度基盤的認知機能の低下が影響しているのかがわからないためその方の機能を把握しきれず、「右肩下がり」も加わり「認知があるからなにもできない」になってしまいがちです。

 

安易にそうなってしまわないために、しっかりとした評価が必要になってきます。

 

 

認知症の高次脳機能評価・訓練立案の考え方

 

新患・新しい利用者さんが来たら、まず情報収集と初回インテーク、スクリーニングをするかと思います。

 

情報収集で既往に認知症があることが分かります。

認知機能を長谷川式やMMSEで見てみるとやはり低下がある。

できそうな人なら、Moca-JやKOHS,RCPMで知的機能や推論能力を、JARTで言語的な知能を、前頭葉機能をざっくりとFABで見て、コミュニケーション機能をCSTDを見てみるとよいと思います。

 

ここから先はとりあえず日常生活の観察評価が有用です。

認知症リハの目標は、安全で快適な生活の継続、その人らしく生きていくこと、だと私は思っています。

自分でできることは自分でできた方が良いでしょうし、その人の大切にしている生活習慣は継続できるようにしたいと思います。

 

その目標を見据えた上で優先していくのは、日常生活の中でのADL、IADLの評価です。

少し詳しく言えば、ADLやIADLを認知機能がどの程度阻害しているか、を見ていきましょう。

 

例えば、食事時間周囲の音に気がそれて自力摂取できない方がいたとします。

この方の問題は嚥下機能でも上肢の機能でもないですよね?

注意機能の低下により、食事というADLに低下をきたしています。

 

この方に対して基盤的認知機能を賦活する関わりや環境調整をしていくことで、食事の自力摂取を目指す、というのは一つの良いリハビリの方法だと思います。

 

日常生活の観察評価から、その方が生活していく上で課題となっている部分を抽出していきます。

その課題を解決する方法を、機能と環境から考えてリハビリとして取り組んでいく。

脳血管障害のモデルでは「いずれできるようになる」という考えで環境や生活をみていきますが、認知症では「今」の機能に合わせて環境や生活を変える必要があります。

 

認知症の日常生活評価にはFAST、PSMS、IADL Scale、N-ADL、DADなどがあります。

一つ一つ特徴があるので、使いやすいものを選んで使ってみるとよいと思います。

細かい特徴については、また別の機会にまとめたいと思います。

 

 

観察評価の色々

 

ここからはよく使う観察評価についてまとめていきます。

 

注意の観察評価にBAADがあります。

f:id:ryok-kobayashi:20200703133731p:plain

BAAD

注意障害の臨床;豊倉穣 高次脳機能研究第28巻第3号

記憶の評価には 記憶障害者の日常生活場面での行動観察評価項目日常記憶チェックリストがあります。

f:id:ryok-kobayashi:20200703160514p:plain

記憶障害の行動観察評価項目

記憶障害のリハビリテーション ―その具体的方法―;綿森俶子

日常記憶チェックリストは本人、家族、リハスタッフの3者が評価を行うことで、障害認識も評価することができます。

詳しくはこちらの論文を見てみてください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1963/42/5/42_5_313/_pdf

 

基盤的認知機能や、認知機能の全体像の評価にはCBAがおすすめです。

 

CBAは認知機能を意識・感情・注意・記憶・判断・病識の6つを、それぞれ1点(最重度)~5点(良好)の5段階で評価していきます。

6つの総合点が6~10点=最重度、11~16点=重度、17~22点=中等度、23~28点=軽度、29点以上=自立、とされています。

 

f:id:ryok-kobayashi:20200703184812p:plain

全般的認知機能の状態とCBA

CBAは軽度からセルフケア自立、危険判断ができるとされています。

認知機能の評価ではCBAでいうどの段階に目の前の患者様、利用者様がいるかを評価し、その方の段階にあった関わり方が必要です。

f:id:ryok-kobayashi:20200703190021p:plain

CBAの段階と関わりのポイント

CBAは高次脳機能・失語症評価、訓練立案にとても役立つので、ご興味ある方はぜひ研修会に参加してみてください。

森田先生・春原先生ともにとてもエネルギッシュで、より患者様利用者様のためになる言語聴覚士を育てたい!という熱意に満ちた方々です。

研修では森田先生の臨床の映像も見ることができ、どんな風に患者様利用者様とお話するのか、気付きを促す会話のアプローチとは、等とても勉強になります!

失語・高次脳の臨床に悩んでいる方はぜひ先生方のお話を聞いてみてください!

www.cba-ninchikanrenkoudou.com

 

おわりに・・・

 

長々と書きましたが、認知症の高次脳評価・リハには「日常生活」の視点が欠かせません!

だから、STリハでもトイレ動作練習を行っても、移乗・移動の練習を行っても良いと私は思います。

それがその方の生活に必要なことなのだから、堂々と「高次脳機能訓練」として行っていきましょう!

 

私は現在施設に勤務していて、介護職も兼務しています。

リハ職ですが、日常生活にかかわる時間を多くもつことができています。

私がこのような立ち位置にしてもらった理由の一つは、

「日常生活の中で、高次脳機能評価を行いながらケアをしたかったから」です。

 

トイレ移乗の際のブレーキかけ忘れ、フットレストの上げ忘れを自分で気づいてやってもらうにはどうしたらいいか?

更衣動作自体の能力はあるから、自分で着てもらうにはどんな環境調整が必要か?

認知機能の評価と合わせて、試行錯誤しながら「その人らしい生活」にむけて取り組んでいます。

 

生活の中の、一つ一つが機能訓練であり、高次脳機能訓練だと私は思います。

その人らしい生活、残存機能を生かした生活に向けて、お一人お一人を丁寧に評価していきたいですね!

 

参考文献