【英語論文要約】アルツハイマー型認知症患者のIADLに対する認知リハビリテーション
アルツハイマー型認知症患者のIADLに対する認知リハビリテーション
(A randomized cross-over controlled study on cognitive rehabilitation of instrumental activities of daily living in Alzheimer disease)
【概要】
この論文では、軽度~中等度AD患者(MMSE16-27点)に対し自宅の状況で特定のIALDに対し訓練を行っています。
訓練するIADLは本人・主介護者の興味や希望によってきめられています(例:テレビのリモコン操作、パソコンでメールを送る)
訓練は四週間、週に2回実施された。この四週間の間、主介護者は訓練している作業を本人と一緒に行うように求められていました。そのために主介護者は記憶システム、間隔伸長法や誤り無し学習といった認知訓練について、またアルツハイマー型認知症について、認知機能についての情報を専門家から教授されています。
訓練した特定のIADLについてのDMTは改善し、効果は3ヶ月後も継続していたが、他の評価指標での有意な改善は認められませんでした。
※DAT=direct measure of training
作業を複数のステップに分け、それぞれのステップに対しての介助量をスコア化したもの。
独立して作業が可能:4
言語的な誘導が必要:3
言語的+視覚的誘導が必要:2
言語的+視覚的+身体的な誘導が必要:1
そのステップの完遂が困難:0
訓練方法
IADLの訓練は【誤り無し学習】【間隔伸長法】の二つが用いられています。
【誤り無し学習】の方法に基づき、訓練は各レベル/各施行の時間間隔を段階的に上げていくようにされています。
訓練時のサポートは4段階に分けられています。
レベル1
訓練するIADLの全てのステップを介助者が本人の目の前でやって見せる。
レベル2
介助者が全てのステップを言語化し、本人が各ステップを行う。
レベル3
本人が全てのステップを言語化し、介助者のサポートを受けながら行う。
レベル4
本人が全てのステップをサポート無しで行う。
各施行の時間間隔は30秒、1分、2分、4分、8分の5段階で行われました。
30秒から8分の五段階全ての間隔で正しい作業を行うことが可能になったら、次のレベルに進んでいきます。
あるレベル、ある時間の試行で失敗した場合、次の試行は1つ下のレベル・半分の間隔で行います。
私的考察
・訓練は認知リハビリテーションや記憶システムについて教えられた【主介護者】が自宅で毎日行っています。
訓練したIADLが再学習されるには、そのたびごとの適切なリハが必要だと考えられます。
+適切なリハで、中等度ADにおいてもIADLの再学習が可能。
この辺の結果・間隔伸長法+誤り無し学習の手法は、グループホームでのケアにとってもとっても活かせる気がしています!!
グループホームは生活の場なので、リハ的なケアを行いやすく、こういう介入の好適応ではないかなと思っています。
・その方のニーズの把握は、当たりまえですがとても大切!!
その方の生活、興味、関心、嗜好、実際の困難を踏まえた上で、どの部分に焦点を当てるかを考える必要がありますね。
・生活行為の工程分析→各工程の段階的なヒント…と1つのケア、支援をするにもその方がどの工程でどれだけの支援が必要なのかのアセスメントは必須。
丁寧な工程分析によって、よりその方の機能を活かしたケアに繋がる+リハとしてフォーカスすべき部分が明らかになる。