食事の姿勢は足底接地が重要!ー牛乳パック足置きの作り方
ベッド上でも、車いす座位でも、食事時には足の裏がしっかりと地面に接していることが必要です。
嚥下と足底接地に本当に関係があるの?
と思う方も多いでしょう。
足場が不安定な場所で重いものを持ち上げようとする時を想像してみてください。
しっかりと固定された足場での作業よりも、力が発揮しにくいと思います。
頭頚部は体という土台の上に乗っかる構造になっています。
土台が不安定だと、頭頚部は不安定な足場に立っているのと同じ状況になります。
そのため、十分な力を発揮しにくくなります。
膝関節90度の足底接地が効率的な嚥下関連筋群の運動に有意に効果があること、また足底接地が咀嚼リズムの安定性に重要である事、などが論文で出てきています。
よし!じゃあちゃんと足をつけよう!
と思っても、小柄な高齢者の方や施設で車いす調整が難しいところではそのままでは足底接地がうまくいかないことが多いですよね…。
太めの雑誌(ジャ○プ)なんかで調整するのも可能ですが、私がよく作って施設で使っている牛乳パック足置きの作り方を今回はご紹介します!
牛乳パック足置きの作り方
材料:牛乳パック×9本分(もろくてもOKなら6本でも可能)
ガムテープ/ビニールテープ
◆作り方◆
①口を開けて四すみを縦に切り込みを入れる。(全部で3本分)
②底・口の部分を切り落として開く。(全部で6本分)
③底・口を切り落とした牛乳パックを蛇腹におる→切り込みを入れた牛乳パックに入れる。(1本の中に2本分の蛇腹を入れる)
1本の中に1本分の蛇腹でも作れますが、少しもろくなります…
中に新聞紙をぎっちぎちに詰め込むのもOKです!(新聞紙を詰める作業はできる利用者さんが多いので、利用者さんに手伝ってもらって作ることもできます)
④口をガムテープで閉じる→同じものを3個作って合体!!
テープでぐるぐるまきにして…
こんな感じで完成です!
写真は足の小さい方に使う用に2個で作ってます!
縦向きにして4つ並べて合体させた大きさが、一般的で使いやすいと思います。
その方の体格に合わせて、大きさを変えて作っていくことができます。
◆注意点◆
蛇腹(W)の上向きが上になるように使うと耐久性が上がります!
蛇腹(W)がの折り目が上になるように使うととてももろいです…
矢印の方向を上下で使うと◎
写真の左右方向を上下で使うと、蛇腹がそのまま潰れてしまいすぐにへこんでしまいます…
おわりに…
牛乳パックがあれば、案外簡単に作れます!
牛乳パックが無いときは、中に新聞紙をたくさんつめこんでも作れます!
利用者さんにまるめて詰め込んでもらっても良いかと思います。
是非ご活用ください!!
特養STが選ぶ!【摂食・嚥下障害】おすすめの本5選
今回は本のご紹介です。
私が新人の頃から中堅?の現在に至るまで、臨床をともにしてきた本をおすすめポイントとともにご紹介させていただきます。
現在私は「特養ST」なので、「特養」=生活期・高齢者の摂食嚥下障害への対応に使える本を中心に選んでみました!
ST学生や新人STをはじめ、摂食・嚥下障害に関心があるセラピスト・医療福祉従事者の方々のご参考になればうれしいです!
【摂食・嚥下障害】☆おすすめの本5選☆
嚥下障害ポケットマニュアル 第4版
認知症患者さんの病態別食支援
摂食嚥下障害のキュアとケア
姿勢から介入する摂食嚥下 脳卒中患者のリハビリテーション
食べて治す!頸部聴診法と摂食嚥下リハ実践ノート
脳卒中で共同偏視が起こる理由
急変対応は何度こなしてもドキドキしますよね…。
先日夜勤時、訪室すると【嘔吐+左方向の共同偏視+痛み刺激に反応無】の状態でした。
救急搬送され、診断は【左の広範な脳梗塞】でした。
視床では内下方への偏視(鼻先凝視)、
橋病変では病側方向への偏倚/正中位での固定が出現することが知られています。
私も症状としては知ってはいたのですが、その理由は知りませんでした。
今回急変対応したのを機に、共同偏視が起こる機序を調べてみました!
外眼筋の機能と解剖
眼球運動は6つの筋肉によって行われています。
上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋は動眼神経
上斜筋は滑車神経
外側直筋は外転神経 が支配しています。
それぞれの筋肉の働きと眼球の運動方向は上の図のようになっています。
左右方向の眼球運動にかかわるのは「外側直筋」(外転神経支配)と「内側直筋」(同感神経支配)の二つです。
左右を見るとき、両目は協働して動いている(側方注視のメカニズム)
右方向を見る時、両目ともに右側を向きます。
この時働いているのは、「右目の外側直筋と左目の内側直筋」です。
二つの筋肉が同時に共同して動くことができているので、スムーズに右側をみることができます。
このような目の動きを「側方注視」と言います。
この両目の共同した動きに必要なのが前頭眼野と【傍正中橋網様体(PPRF)】です。
PPRFは橋の外転神経核付近にあり、外転神経核を介して対側の内側縦束(MLF)→対側動眼神経核へと繋がっています。
側方注視は右目の外側直筋の動きと同時に、PPRF・外転神経核の介在ニューロンがMLFを伝わり動眼神経核→左目の内側直筋を動かすことにより可能となっています。
PPRFの損傷・MLFの損傷どちらによっても、スムーズな側方注視はできなくなります。
病巣による側方注視障害の機序
皮質・被殻の損傷と共同偏視
急性発症の大脳半球広範囲の脳卒中では、梗塞・出血を問わず病側への共同偏視が見られる。
これは前頭葉注視中枢の障害により、対側への随意眼球運動・衝動性眼球運動が不可能になるためで、病巣をにらむ対側に片麻痺が起こる。
このような麻痺の無い病変側への共同偏視は前頭葉か頭頂葉の広範囲血管病変で起こり、後頭葉病変では偏視はないのが一般的である。
眼球運動異常からみた脳血管障害 廣瀬源二郎
大脳皮質や被殻出血によって、大脳皮質から外転神経核までの間の神経の伝達が止められてしまった場合です。(大脳病変で皮質橋注視経路が遮断)
運動は多くの場合、右脳が左側、左脳が右側を支配しています。
つまり、左脳が傷つくと右手・右足…に麻痺が生じます。
外側直筋で考えると、左脳が傷ついた場合右目の外側直筋が動かなくなります。(右側を向けなくなる)
また、脳からの指令はPPRF→外転神経核と伝わっていくため、外転神経核まで運動の指令が行かないのならPPRFにも指令は伝わっていません。
そのため、右の外側直筋・左の内側直筋が動かなくなり、左向き(病巣側)の共同偏視が生じます。
小脳の損傷と共同偏視
小脳出血が生じると、出血量と場所によって皮質から眼球運動を司る神経核・神経の間の経路を遮断することがあります。
皮質→眼球運動の神経核・神経への経路が遮断されると、眼球運動の障害が生じます。
小脳は橋と同じくらいの高さにあるため、小脳レベルで眼球運動の経路が遮断されると、すでに左右が交差した後になります。
そのため左の小脳出血では左の外側直筋・PPRFを介した右の内側直筋の障害が生じ、右向き(健側向き)の共同偏視が生じます。
橋の損傷と共同偏視
橋の損傷での共同偏視は小脳レベルでの損傷と同様のメカニズムで生じます。
PPRF・MLFの障害により、病側の内転不全と健側の外転時の眼振が見られることがあります。
しかし橋の場合では損傷範囲の広がりによっては両側の注視経路が傷つき、正中固定が生じることがあります。
おわりに…
眼球運動はややこしくて覚えにくいですが、障害部位と症状を結び付けていると「何かおかしい」ということに気付きやすくなります!
重大なサインを見逃さないようにしていきたいですね!
参考文献
高次脳機能障害と「気付き」「アウェアネス(awareness)」の障害ー「病態失認」「障害への気付き」に対するアプローチ
介護の現場で「厄介だな」と思うADLは、
「見守り~一部介助で歩行可能」ではないでしょうか?
見守りなしで歩行可能なほどの機能はないけれど、安全ではないが歩けてしまう。
そんな方々によく生じるのが「転倒」です。
見守り~一部介助で歩行可能なレベルの方々が厄介なのは、他のADLの方々に比べて転倒リスクが高い印象があるからです。
杖や歩行器などの補装具が必要なのに、使わないで歩いて転倒する。
見守りが必要なのに、いつの間にか一人で勝手に歩いて転倒する。
移動は車いすレベルでも起き上がりができる方は、一人で起き上がって、立ち上がろうとしてベッドから転落する。
どの施設でも、よくある話だと思います。
このようなタイプの方々は、ほとんどの施設ではセンサーで対応されていると思います。
この方たちが転倒・転落してしまう理由は大きく2つです。
①身体機能の低下
②リスク意識の低下
一つ目はしっかり立つ・歩くだけの身体機能がないから転んでしまう、というものです。
こちらは分かりやすいですね。そのままです。
今回問題にしたいのは二つ目の方です。
仮に、皆さんが足を骨折したとします。体重を乗せると痛くて力が入りません。
そうなったとき、皆さんはケガした方の足に体重をかけないようにしますよね。
移動する時には松葉杖を使ったり、車いすを使ったりします。
頭の中にはいつも「私は骨折していて、こっちの足に体重をかけると痛いし力が入らない」という意識があります。
加えて、「こっちの足に力をかけると痛くて力が入らないから危ない」ということを知っています。
その意識があるから、移動は杖や車いすを使うし、痛い方の足に負担がかからないように行動します。
転倒・転落を繰り返す方々は、この「私は〇〇だから、こうすると危ない」という意識が低下しています。
杖なしで歩いてしまう方は、「杖を使わないと危ない」という意識がないので杖を使わないで歩いてしまいます。
立位が取れないのに一人で立ち上がってしまう方は、「自分は一人で立ち上がれない」という意識がとても低いので、立ち上がってしまいます。
「〇〇すると危ない」という意識を「リスク意識」と言います。
自分の身体機能を適切に認識し、危ない部分に気を付けて生活していくことを「リスク管理」と言います。
転倒・転落を繰り返す方は、この「リスク意識」の部分に大きく問題があることが多いです。
「リスク意識」を持つためには、自分自身の状態への「気付き」が必要です。
認知機能の低下、高次脳機能障害により、この「自分自身の状態への気付き」が障害されることが多くあります。
そしてこの「気付きの障害」へのアプローチはとても困難で、改善させていくことがとても難しい部分でもあります…。
しかしこの「気付きの障害」は、患者さんのADL自立を大きく阻害する要因になります。
立位は取れても歩行は危ない、という同じ身体機能のレベルであっても、
「リスク管理」ができていればADLは「車いす自立」になります。
しかし「気付きの障害」が重く「リスク意識」が低ければ、ADLは「移乗:見守り~一部介助」「移動:見守り~一部介助」になるかと思います。
患者さんのADLを上げていくには、身体機能の向上+「気付き」の向上が必須です。
(在宅に戻る/施設でのADLを考えるには、もちろん環境調整もとても大切です!)
病院から在宅を目指す患者さんであれば、高次脳機能リハの目的は「ADLの自立」が大きなものになります。
軽微なディサースリアや顔面神経麻痺、机上の注意課題に介入時間全てを使ってしまうのではなく、「ADL自立」に直結する「気付きを促す介入」をSTリハ時に行えるといいですね!
それでは「気付きの障害」についてまとめていきます!
気付きの段階
気付きはAwarenessと言われることもあります。このAwarenessの障害を、Crossonら(1989)は
①知的アウェアネス
②体験的アウェアネス
③予測的アウェアネス
に区別し、知的アウェアネス→体験的アウェアネス→予測的アウェアネスと上がっていく階層モデルを提示しました。*1
知的アウェアネス以前の段階
この段階では、障害の認識が全くできていない状態です。
多くの場合意識障害や、注意や記憶の重篤な障害が併存している場合が多いです。
アウェアネス/自己への気付きは、神経心理ピラミッドでみると高次の機能にあたります。
高次の機能は、低次の機能が土台としてしっかりとしていることで十分に機能することができます。
そのため、意識・感情・記憶・注意といった低次の機能が不安定であれば、「気付き」の障害は生じて当然であるともいえます。
認知関連行動アセスメントCBAの得点とFIM運動得点とは有意に関連しており、認知機能の低下が重篤であるほど運動機能自体の低下も重篤であることを示しています。
それと同時に、認知機能の低下が重ければADLの自立の阻害要因になっている、という風にも解釈することができます。
CBAでは中等度(17-22点)で屋内見守りレベルのADLが可能とされています。
知的アウェアネスが可能となり始めるのaは、CBAで言うと中等度程度からです。
認知機能がCBAでの重度・最重度のレベルにある患者さんには、
覚醒を上げ反応を引き出すこと、意欲や笑顔を増やすこと
を目標に関わっていく必要があります。
CBA重症度別のかかわり方のポイントは以下をご覧ください。
最重度=6-10点
重度=11-16点
中等度=17-22点
軽度=23-28点
良好=29-30点
知的アウェアネスの段階
①知的アウェアネスとは、「障害を知識としては知っている」状態です。
自分の疾患名、それがどのような病気かを理解している段階です。
この状態から少し進むと、自分の疾患からどのような「障害」が生じているのか、その障害がどの程度のものなのかを理解する段階へと至ります。
脳卒中の患者さんで言えば、「自分は脳梗塞になった」という理解が第一段階です。
そこから少し進むと、「脳梗塞の影響で左手足に麻痺が生じている」という理解の生じる段階があります。
この気付きの段階では自分の能力の低下に対する「自覚」はありません。
そのため、「脳卒中で左手足に麻痺がある」と話していても、どこか他人事のような雰囲気があります。
「麻痺があるんですって」
「脳卒中で倒れたそうです。」
「左の手足が動かないと言われました」
こんな風に、伝聞体で自分の疾患や障害について話されることが多くあります。
知的アウェアネスを促すアプローチ
CBAで認知機能が中等度程度になったら、本人に対して疾患や検査結果の説明を行っていきましょう。
この際カウンセリングでいう「標準化」の手法を使って伝えていくのがポイントです。
「あなたは」と伝えるのではなく、
「一般的に、頭を強く打つと新しいことが覚えにくくなったりします」
「脳梗塞の後には、考えることに疲れやすくなったり、注意が続かなくなったりします」
というように、「一般的に」「この病気の多くの人に」同じ症状が生じる、という形で伝えていきましょう。
このように伝えることで、宣告のように本人の目の前に障害を突きつけず、また他にもそういう人がいるという安心感を持たせつつ、必要なことを理解してもらうのに役立ちます。*2
このような説明を、何度も行っていきましょう。
障害による日常的な問題が起こったタイミングで説明できると、体験的な気付きへつなげていきやすくなります。
できればご家族も同席して説明できるとよいです。
高次脳機能障害は周囲の支援者を含めた環境的なアプローチが効果的なことが多いです。
どのような障害があり、どのような場面でどのような問題が起こりうるのか、その際どのようい対応したらいいのかを説明し、適切な対処ができるように支援していきましょう
体験的アウェアネス
生活や訓練の中の体験を通じて、「自分には何ができて、何ができないのか」に気付いていく状態です。
自分の知識と体験が結びつき、「その障害が自分にある」と実感できている段階です。
障害のために起こりうる日常生活の問題を認識できている状態です。
この状態は、「なんだかうまくいかないことがある」という気付きが生まれる状態です。
ということは、「なんだかうまくいかない」状況に出会わせる必要が出てくるタイミングである、ということです。
記憶障害のリハビリテーションでは、基本的にはエラーレスで行うことが推奨されています。
しかしこの体験的アウェアネスを促していくタイミングでは、時としてあえて失敗してもらうことも必要になってきます。
失敗したタイミングで、すぐその場でフィードバックを行い、気付きを促していきましょう。
「なんだかうまくいかなかった」と本人が思ったタイミングで、「これは〇〇の影響で、こうなっているからこうなりました」と本人にフィードバックを行います。
このようなフィードバックを繰り返していき、「何で失敗したのか」の原因と結果を結び付けていけるようにサポートしていきましょう。
体験的アウェアネスを促すアプローチ
前述したように、時に「失敗」に出会わせながらその場で即時フィードバックをしていくことが必要です。
セラピストがいくら口頭で障害の説明をしても、その方の「実感」にならなければ「知的アウェアネス」のレベルにとどまってしまいます。
セラピストは「安全に失敗できる」状況をセッティングし、その場ですぐに修正・フィードバックすることで「気付き」につなげていきましょう。
その方の能力に応じた代償手段の活用も考えていくことも大切です。
車いすからの移乗時ブレーキやフットレストの管理が不十分な方には、まずは1つ1つ声掛けをして移乗することから始め、徐々に声掛けを少なくしていく方法があります。
必要な方には、確認項目を視覚化することも有効です。
他にも記憶障害に対してメモやチェックリスト、スマホのアラーム機能の活用等があります。
注意や記憶障害の代償手段については、また別の機会にまとめたいと思います。
「会話」により気付きを促す方法
会話を用いて「気付き」を深めていくことも有効です。
会話の中で患者さんの気付きがどの段階であるのかを評価し、「気付き始めている」部分を強化していくことができます。
会話で「病識」に対する気付きを深めていくには、CBAの病識の評価視点が頭に入っているとやりやすいです。
CBAにおいて病識は
①病気理解
②障害理解
③能力理解
④環境適応
4段階に分けられています。
おおよそ「知識的気付き=病気理解」「体験的気付き=障害理解・能力理解」「予測的気付き=環境適応」にあたります。
以下、会話の中で気付きを促していく際の基本姿勢のポイントです!*3
・受容的で穏やかな対応
・質問し考えてもらう
反応の特徴:確信的か、自信がある感じか、不安そう?適当な感じか?
浮動性:反応は一貫しているか?揺れや修正があるか?
反応の精度:答えは確実か?曖昧か?明らかな間違いをはっきりと言っているか?
・基本的に誤りは修正しない
まずは自由に答えてもらう→ちょっと修正を入れてみて、反応を見る
この基本姿勢を意識した上で、気付きのどの段階にあるのかを手順にそって評価していきます。
①記憶・見当識を評価する。
=病気の認識の有無、どこの病気か認識しているか、発症からの時間経過の認識を確認する
・今日はいつか、病気をしたのはいつか、発症からどのくらいたっているかの確認
・病気をした認識はあるか?
認識がない場合は、相手に合わせて話しを進める
・時間経過の実感はあるか?
②生じている障害の認識の評価
=自発的に障害に気付いているか?(誘導・ヒントで気付くレベルか、誘導で気付いていても深刻さにかけ楽観的か、などの態度の評価)
・今回の病気でどのような障害が生じているか聞く
・身体機能(手・足)、言葉などと順番に聞いていく
=聞きたい部分だけ聞かない。
・認知機能について慎重に尋ねる
=「標準化」して「一般論」として聞く。
「この病気では思い出しにくかったり、集中しにくかったりすることがよくあります」
③起こりうることの推測が可能か評価
・「こらからどうしていきたいですか」を問う
・自宅退院、職業についても見通り
会社の特徴・立場・業務の内容を語ってもらう→遂行機能も評価できる
運動面、認知面からその職務が可能か考えてもらう
こだわり・やりがい・働く事の必要に配慮する
・今戻るとどうなるかを、自発的にイメージしてもらう
細かく考えてもらう(通勤・階段・電話など)
それぞれの気付きの段階に合わせて、会話の中で質問し、その答えを評価しながら気付きを深めていきましょう。
対応のポイントは「自分で気付いてもらい、その気付きを強化する」ことです。
ぽんと聞いてみて自発的な答えが出てこなさそうだったら、誘導していく方向に切りかえます。
どのくらいの誘導で気付けるのか評価しながらも、誘導で気付けたのならその答えを共感的に繰り返し確認していきましょう。
少し脱線しますが、
「今日の日付」「発症日」「発症から今までの経過」を聞くことはとても重要です。
その方の「今、ここ」がどこであるのかを察することができるからです。
特に前頭前野に障害のある方は、自己への関心を失い、自己の時間的連続性の自覚を失っている場合が多くあります。*4
見当識障害・記憶障害によっても、昨日から今日、今日から明日、という時間の連続性・自己の連続性が失われます。
【その方にとっての「今、ここ」がどこにあるのか】をつかんでおくことは、介入していく上でとても重要です
私たちの「今、ここ」にいない患者さんに、「病識」をもってもらうのはとても難しいです。
その方のいる「今、ここ」では病気や事故にあう前の、元気な自分のままなのですから。
前頭葉損傷・見当識障害・記憶障害などで違う「今、ここ」にいる患者さんに対しては、なるべく現実の「今、ここ」に近いところに来てもらうようなアプローチが先に求められます。
脳損傷の患者さんでは、傷ついた脳が回復していく中で意識障害が晴れ、徐々に現実に近付いてくることができる方々が多くいらっしゃいます。
一方で、広範な脳損傷により意識障害が中々戻らない方や、認知症の方はそれぞれの「今、ここ」から現実へ戻ってこられない方もいらっしゃいます。
そのような方々には、私たち側にその方々を近付かせるのではなく、こちらから近付くケアが必要です。
優しく心地よい感覚入力をしながらも、その方の世界を壊さない声掛けを意識していきましょう。
認知症の方の「気付き」「アウェアネス」、「気付きの障害への対応」については最後にまとめます!
体験的アウェアネスを促す際の注意点
体験的なアウェアネスを促していくことは「できない」ことに気付かせていく過程です。
今まで当たりまえにできていたことが、病気や事故によって「できない」ということに向き合ってもらうことになります。
そこには当然、強い心理的なストレスが伴ってきます。
Flemingら(1998)は頭部外傷者のセルフアウェアネスに関するクラスター分析から、セルフアウェアネスの高い群は仕事復帰への意欲も高いが逆に抑うつや不安の得点も高く…(中略)…また、Cooper-Evansら(2008)は、自尊感情が低いと抑うつや不安といった心理的ストレスが高く、低い自尊感情はセルフアウェアネスの高さと関係していることを示唆した。さらに、セルフアウェアネスと抑うつや不安などの心理的ストレスの高さは、障害の重症度や発症からの期間には関係が見られないことも報告されている。
「気付き」の力が高いほど、抑うつや自尊感情の低下といった心理的ストレスを抱えやすくなります。
気付きを高めていく過程の中では、患者さんの心理・精神状態に十分に配慮をしながら進めていく必要があります。
予測的アウェアネス
予測的アウェアネスは自身の障害・能力を理解した上で「問題が起きないように予測して対処する」ことができる状態です。
言い換えると、障害されている能力を保たれている能力で代償し、日常生活諸問題を解決するための工夫を行い環境に適応している状態です
この状態までくると、積極的に代償手段を用いたり、必要時に他者に助けを自分から求めることができます。
「気付き」に対するアプローチは、体験・フィードバックを重ねることで体験的アウェアネス→予測的アウェアネスへと気付きを深めていく事が主とされています。
体験の中で「こうならないためにはこうしなければならない」という原因と結果の因果関係に気付くことができれば、代償手段の獲得もそれほど難しいことではなくなるのです。
認知症と「病態失認」「気付きの障害」
認知症と「気付き」の問題
広義の「病態失認」を伴わない「認知症」というのはあり得ない、と考えてよい。すなわち、自身の認知状態に気付き、それを正しく「意識化」しうるということは基本的に困難なこと、と考えられる。つまり、自身の病態を「意識化」しえないと言う意味での「病態失認」は、認知症における本質的で不可欠の症状である、と想定しうる。
高次脳機能研究33(3):「気付き」の障害 大東祥孝
認知症であるからには、「自分は認知機能が低下している」と気付くことは困難である。
「自分自身の認知機能の低下に気付けない」という点が、認知症の本質的な部分であると大東先生は言っています。
更に大東先生は
「多様な認知症に通底するのは、記憶や認知の障害というより、再帰性意識の病態である」「記号機能の解体に伴う、主体意識の解体こそが、認知症における神経心理学的病態のきばんである」と言っています。
大東先生の言っているこの仮説から考えると、認知症と「気付き」の問題を考えやすくなります。
そのために、まずは「意識」についてまとめていきます。
「意識」の発生仮説
それでは「意識化」の「意識」とはなんであるのか?
大東先生がEdelmanの理論から導いている「意識化」の仮説では
「自己の特殊価値カテゴリー記憶」と「知覚カテゴリーシステム」という二つのニューロン群の間で生じる「再入力」結合が基盤となってまず【一次意識】が生じるとされます。
彼の言う「再入力」過程と言うのは、複数のニューロン群の間にまず前もって多くの神経相互入力が生じる。その状態で、個体がある外的刺激に出会うと、ニューロン群間において準備されていた入力の中から特定の相互入力が選択的に増強されることになる。すでに相互入力が形成されているニューロン群間において、新たに特定の入力が選択される過程が、エーデルマンの言う「再入力」なのである。
高次脳機能研究33(3):「気付き」の障害 大東祥孝
単純化して言い換えます。
記憶ー感覚でニューロン間で繋がりができている状態で、ある「刺激」に出会った時、
感覚→記憶の回路の中のいくつかが選択的に選ばれて活性化します。
既につながり合ってるたくさんの回路の中から、ある刺激に際していくつが選択的に選ばれて活性化することを「再入力」と言っています。
この再入力は視床ー皮質系で動的な安定状態を保ちながら成立している【ダイナミック・コア】という巨大な機能的クラスターで生じます。*5
【ダイナミックコアを構成する神経細胞群だけが、意識体験に直接関与しています】
記憶ー感覚の相互入力・新たな刺激に対してあるダイナミックコアが活性化した状態によって「一次意識」が生じた、という仮説です。
ここで発生する「一次意識」は「想起された現在」と呼ばれています。
ここからさらに高次の意識が発生するには、「言語」の介在が必要とされています。
言語の出現とともに、自己の価値カテゴリー記憶と外界からの知覚カテゴリーシステムとの間に意味的能力、統語的能力が介在して、新しい再入力が生じる。この再入力過程が、高次の意識の発現を促す。
高次の意識の発生とともに、セルフの概念や、過去・未来の概念が生じる。
高次脳機能研究33(3):「気付き」の障害 大東祥孝
記憶ー知覚という繋がりが、「言語」によって意味的統語的な修飾を受けることで、初めて「高次の意識」が生じます。
意識のネットワーク
意識のネットワークには3種類あります。
①セイリアンスネットワーク
セイリアンスとは「他の周囲の対象に比べて突出して際立った対象」という意味です。
セイリアンスネットワークは「動的際立ち系」とでもいうシステムであり、個体がその場その場で自身にとって重要である外的情報を際立たせ、同時にその際立ちに対応する神経ネットワークを活性化させるような「情動社会行動系」のネットワークです。*6
関係する神経基盤は前頭葉内側前部帯状回と内側底面の眼窩脳ー島皮質です。
エーデルマンの意識の仮説からすると、「一次意識」に相当するのがこのセイリアンスネットワークです。
②遂行制御ネットワーク
遂行制御ネットワークは「外へ向かう気付き」のネットワークです。
外界との知覚・運動に際して生じる「認知的問題解決」に対応する機能系で、頭頂連合野が外界からの情報をルーチンの手法で処理することが困難になった際に、前頭葉関連の遂行機能が働き始めます。
③デフォルトモードネットワーク
デフォルトモードネットワークは「内へ向かう気付き」のネットワークです。
デフォルトモードネットワークは何らかの課題達成活動の際には沈静化しているが、安静休息状態にあって活性化し、「おそらく内界に対して志向しているであろう状態において賦活される」*7ネットワークです。
この内へ向かう気付きのネットワークによって、「自分自身の状態に気付く」再帰性意識が生じます。
関係する神経基盤は皮質正中内側部構造(内側前頭葉・前部帯状回・後部帯状回・稧前部・外側側頭葉)とされています。
認知症と「再帰性意識」の希薄化・「記号機能の解体」
デフォルトモードネットワークによって担われる「内へ向かう気付き」=「再帰性意識」の希薄化が生じるとされています。
記号機能の対象が「自己」に及ぶと、自己=自己意識/再帰性意識、という構造化が生じるが、認知症ではこの構造が障害されるために、結果的に自己の解体が生じ、これが認知症に共通する特徴となる、と想定される。
注意と意欲の神経機構 日本高次脳機能障害学会
自身も認知症となった長谷川先生は、自身の症状について「色んなことが曖昧になっていく」と言っています。
この曖昧さも「自分」とは「自分と考えているこの意識である」という再帰性意識、それを担保する記号機能が徐々に解体されてきていることを象徴する感覚、と考えることもできます。
認知症の根幹は、感覚ー記憶の統合により生じた一次意識・そこに言語機能の装飾を受け生じる高次意識の障害、つまり、「自己意識の障害」と言い換えることができます。
認知症が進行していった先には、高次の意識を介さない、一次意識として立ち現れている状態があります。
時間的連続性が断たれ、純粋に感覚ー感情がリンクしている状態です。
この状態の方には、だから、「快い刺激」を入れることが必要になってきます。
そのあわいにいる方々に対しては、「その方がどのレベルか」を評価した関わりが大切です。
認知症の方に「リスク管理」を定着させるには?
とても回り道をしましたが、「リスク管理」の話をしていました!
認知症は進行性疾患であるため、最初であったとき既に「気付き」が曖昧であるならば、今後その「気付き」を深めていく事は難しいです。
それでも「杖を使って歩く」「移乗時ブレーキをかける」等の動作を定着させたいのなら、それは「手続き記憶」として「体で覚えてもらう」ことを試してみるのが良いと思います。
認知症の方でも「手続き記憶」は後期まで残ることが多いです。
ひたすら同じ動作を繰り返すことで、手続き記憶として体に覚えてもらうことが可能な場合があります。
認知症による認知機能低下がある方に「気を付けてくださいね」といくら言っても大した効果はありません。
それよりも、定着させたい動作を抽出し、その動作を繰り返すことの方が有効です。
動作の繰り返しの際には、環境設定も重要です。
歩く時は杖を使ってほしいなら、歩き出す際に杖が目立って視界に入る必要があります。
すぐに目の入る位置に、目立たせる工夫をして置いてみましょう。
おわりに…
リスク意識から「気付き」「意識」と大風呂敷を広げてしまいました…
この部分はまだ未解明な部分も多く、その分面白い分野でもありますので、興味のある方はぜひ色々調べてみてください。
認知症の方は「自分が自分であること」「感覚と記憶の集合体としての自己」の部分にも障害が生じている、と念頭においておくと、すこし違った見方のできる時があると思います。
認知症の方特有の「曖昧さ」「不安」に、一歩踏み込んで寄り添うことができるヒントになればうれしいです。
参考文献
プライバシーポリシー
①個人情報の利用目的
【ST介護職の考え事】(以下当ブログ)では、メールでのお問い合わせ、メールマガジンへの登録などの際に、名前(ハンドルネーム)、メールアドレス等の個人情報をご登録いただく場合がございます。
これらの個人情報は質問に対する回答や必要な情報を電子メールなどをでご連絡する場合に利用させていただくものであり、個人情報をご提供いただく際の目的以外では利用いたしません。
②個人情報の第三者への開示
当サイトでは、個人情報は適切に管理し、以下に該当する場合を除いて第三者に開示することはありません。
・本人のご了解がある場合
・法令等への協力のため、開示が必要となる場合
個人情報の開示、訂正、追加、削除、利用停止
ご本人からの個人データの開示、訂正、追加、削除、利用停止のご希望の場合には、ご本人であることを確認させていただいた上、速やかに対応させていただきます。
③広告の配信について
当サイトは第三者配信の広告サービス「Google Adsense グーグルアドセンス」を利用しています。
広告配信事業者は、ユーザーの興味に応じた広告を表示するためにCookie(クッキー)を使用することがあります。
Cookie(クッキー)を無効にする設定およびGoogleアドセンスに関する詳細は「広告 – ポリシーと規約 – Google」をご覧ください。
また、当ブログでは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。
第三者がコンテンツおよび宣伝を提供し、訪問者から直接情報を収集し、訪問者のブラウザにCookie(クッキー)を設定したりこれを認識したりする場合があります。
④アクセス解析ツールについて
当サイトでは、Googleによるアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を利用しています。
このGoogleアナリティクスはトラフィックデータの収集のためにCookieを使用しています。このトラフィックデータは匿名で収集されており、個人を特定するものではありません。この機能はCookieを無効にすることで収集を拒否することが出来ますので、お使いのブラウザの設定をご確認ください。この規約に関して、詳しくはここをクリックしてください。
⑤当サイトへのコメントについて
当サイトでは、スパム・荒らしへの対応として、コメントの際に使用されたIPアドレスを記録しています。
これはブログの標準機能としてサポートされている機能で、スパム・荒らしへの対応以外にこのIPアドレスを使用することはありません。また、メールアドレスとURLの入力に関しては、任意となっております。全てのコメントは管理人が事前にその内容を確認し、承認した上での掲載となりますことをあらかじめご了承下さい。加えて、次の各号に掲げる内容を含むコメントは管理人の裁量によって承認せず、削除する事があります。
・特定の自然人または法人を誹謗し、中傷するもの。
・極度にわいせつな内容を含むもの。
・禁制品の取引に関するものや、他者を害する行為の依頼など、法律によって禁止されている物品、行為の依頼や斡旋などに関するもの。
・その他、公序良俗に反し、または管理人によって承認すべきでないと認められるもの。
⑥免責事項
当サイトで掲載している画像の著作権・肖像権等は各権利所有者に帰属致します。権利を侵害する目的ではございません。記事の内容や掲載画像等に問題がございましたら、各権利所有者様本人が直接メールでご連絡下さい。確認後、対応させて頂きます。
当サイトからリンクやバナーなどによって他のサイトに移動された場合、移動先サイトで提供される情報、サービス等について一切の責任を負いません。
当サイトのコンテンツ・情報につきまして、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、誤情報が入り込んだり、情報が古くなっていることもございます。
当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
2020年7月28日
「耳が遠い」高齢者とのコミュニケーション方法ー老人性難聴への対応·話し方のポイント
「〇〇さん!!」と耳元に口を寄せて大きな声で声掛けをしている…。
どこの施設や病院でも、よく見る光景ですね。
他の機能と同じように、加齢によって聴力も低下していきます。
2001年なので古いデータですが、年齢を重ねると平均聴力は下がっていきます。
純音聴力検査は0dB HL=健聴成人の聞こえ始め(閾値)であるので、80代では聞こえはじめるには+30dBHL分の大きさが単純に必要になることになります。
「聞こえないなら、音を大きくすればいい」という考えは間違いではありません。
しかし、加齢による難聴=「老人性難聴」の特性を十分に把握した上での対応とは言い難いです。
高齢者は認知機能低下による注意機能障害を併せ持っていることも多く、視線での注意の誘導を行わなければ、話に注意を向けることができないこともあります。
そんな方へのコミュニケーションは、「ただ耳元で大声を出せばいい」というわけにはいきません。
老人性難聴(加齢性難聴)は「ただ聞こえない」だけではなく、特徴があります。
特徴を把握した上で、適切なコミュニケーションにつなげていきましょう!
難聴の種類
「難聴」には大きく分けて2種類あります。
・伝音難聴
・感音難聴
それぞれ説明していきます。
伝音難聴
上の図は簡単な耳の構造です。
伝音難聴は「外耳」「中耳」の障害による難聴です。
音は空気の振動です。
人は音を「聞く」には
空気の振動が鼓膜を震わせる→振動が外耳道を通り、鼓膜から耳小骨に伝わる→アブミ骨底が外リンパ液を震わせる→蝸牛の基底板の特定部分が大きく震える→内有毛細胞が倒れる→蝸牛神経の発火→内耳神経…
という過程をたどります。
赤字にした部分までが「外耳」「中耳」の働きによる部分です。
外耳・中耳は「空気の振動」を内耳の「液体の振動」に変えるまでの部分です。
ここで音=空気の振動が何等かの理由で止まってしまう・減少してしまうことが、伝音難聴の原因となります。
つまり、伝音難聴はその名前の通り、「耳の中で音を届ける・伝える・つなげる」ことができないことによる難聴です。
代表的な伝音難聴を呈する疾患は「中耳炎」です。
中耳炎は鼓膜がはれたり、鼓室の中に膿がたまることで、鼓膜の振動が減少・耳小骨が震えにくくなります。
太鼓をたたく時、すぐに太鼓の面に触れてしまったら音が小さくなったりこもったりしますよね?
鼓膜がはれたり、鼓室に膿がたまった状態は、せっかく震わせた太鼓の面に何かが触れてしまっている状態と同じです。
伝音難聴は「音のボリュームが小さくなってしまう」状態です。
そのため、伝音難聴に対しては「ボリュームを上げる=振動を大きくする」ことが有効です。
また、音は空気の振動だけでなく「骨伝導」という骨に振動を伝える方法でも聞くことができます。
伝音難聴では気導聴力は低下しますが、骨導聴力は保たれます。
伝音難聴は、補聴器を使うことがとても効果的です!!!
補聴器は入る音を大きくしてくれるので、「大きくすれば聞こえる」伝音難聴は補聴器をつけることでカバーできます。
感音難聴
感音難聴は「内耳」、その後ろの「後迷路」と言われる部分の障害による難聴です。
「振動」として耳の中を伝わってきた「音」は、内耳で内有毛細胞が倒れることによって電気信号に変えられます。
感音難聴は、その電気信号の処理がうまくいかない状態です。
感音難聴は細かく分けると、障害された部分により「内耳性難聴」「後迷路難聴」と分けることができます。
内耳性難聴は「内耳」、つまり上の図で見える構造に障害がある状態です。
内耳は音を電気信号に変え、その時に色々な処理を加えています。
つまり、「音の高さ・強さ」の分析をしています。
内耳にある蝸牛の「基底板」は底の方で幅が狭く、頂点の方で幅が広くなっています。
幅の違いがあることで、基底板が振動しやすい音の高さが変わっています。
基底板の底辺回転側は高音、頂点回転側は低音で最もよく震えるようになっています。
この基底版の揺れた場所の違いによって、音の高さの違いを把握=周波数弁別をしているのです。
一方、音の大きさは、基底板の揺れの大きさで把握しています。
基底版の揺れが大きくなることで、内有毛細胞の脱分極がより大きくなり、発生する電気信号がより大きいものになります。
内耳には「大きさ」「高さ」の分析に加え、もう一つ重要な役割があります。
それが「感度の調整」です。
上の図、蝸牛の中の「コルチ器」の中には、音を電気信号に変える1本の「内有毛細胞」に加え、3本の「外有毛細胞」があります。
この「外有毛細胞」の役割が、「音の感度の調整」です。
外有毛細胞は、働く時に細胞の長さがわずかに短縮します。
この動きによって、基底板の振動を増幅します。
つまり、外有毛細胞が反応することで、反応した音を大きくすることができます。
外有毛細胞には脳からの運動神経が繋がっていて、脳から指令が行くと外有毛細胞の運動を抑制することができます。
この指令が下ると外有毛細胞は動くことができず、入ってきた音を増幅することができなくなる=音に対する感度・周波数分析は低下します。
この外有毛細胞の働きに障害が起こると【補充現象】という症状が現れます。
補充現象とは、【音の大きさの感覚の異常】です。
音の大きさの変化を、とても過敏に感じ取ってしまいます。少し音が大きくなっただけで、とても大きくなったように感じてしまいます。
ST向けに言葉を変えると、ダイナミックレンジの低下が生じます。
(ダイナミックレンジ=ぎりぎり聞こえる大きさ~大きすぎて不快な大きさまでの、音の大きさの幅)
ちょうどよく聞こえる=聞こえやすい音の大きさの幅がとても狭くなるのです。
つまり、内耳性難聴の場合は「単純に大きくすればいい」わけではないのです!!
補充現象により、「大きくしすぎると逆に聞こえづらい(聞こえが破綻する大きさ)・大きすぎて不快」な状態が生じてしまいます…
こんな状態が生じる「内耳性難聴」に「老人性難聴」は含まれます!
そのため、「耳元で大きく」は補充現象の生じる「老人性難聴」には、あまり推奨される方法ではありません。
この辺りの対応は、後でもう一度まとめます!
感音難聴にはもう一つ、「後迷路難聴」がありました。
「迷路」とは「蝸牛」を指し、「後迷路」とは蝸牛より後ろの神経系のことを指しています。
内有毛細胞の脱分極により電気信号に変化した「音」は、その後聴覚野(へシュル回)にたどり着くまでに様々に伝導・分析がされます。
具体的には
蝸牛神経核→上オリーブ核(両耳聴処理の開始)→外側毛帯→下丘(強さの処理)→内側膝状体(高さの処理)→聴覚野(横側頭回・へシュル回)=認知的処理
内耳で音の高さや強さの分析はされますが、その情報がこの伝導路を通って脳に伝わります。
ここでの処理が不十分であることにより「語音明瞭度の低下」を生じます。
語音明瞭度とは、言葉がどのくらいはっきりと聞こえているのかの指標です。
語音明瞭度が低いと「何か話しているのは分かるけれど聞き取れない」ということが生じます。
人の言語音の違いは、周波数・大きさの違いによって生じています。
その為、周波数分析や大きさの分析が曖昧であると、「言語音がどの言語音」なのかがはっきりしなくなってしまいます。
そのため、大げさな例をだすと「人の話している言葉」が「ドナルド・ダック」が話しているような言葉に聞こえてしまいます。
「老人性難聴」は「内耳性難聴」と「後迷路難聴」両方の要素を持った難聴です。
そのため「補充現象」「語音明瞭度の低下」
この二つの要素に注意した対応をする必要があります。
「老人性難聴」の特徴・話し方のポイント
老人性難聴は基本的に両側同程度の進行性の内耳性難聴(後迷路障害含む)です。
老人性難聴では高い音ほど聞き取りにくくなります。
高齢者への話し方のポイントで「低めの声で」と言われるのは、「高い音が聞き取りにくい」老人性難聴に配慮しているからだと思います。
高い音が聞き取りにくいのに加え、先ほど挙げたように
・聞き取りやすい声の大きさの範囲が狭い=音を大きくすればいいわけではない
・言葉が聞き取りにくい・はっきり聞こえない・こもって聞こえる
特性があります。
老人性難聴の方への話し方のポイント
話し方のポイントは3つです!
①大きすぎない、低めの声で話す
高い音ほど聞き取りにくいです。
あからさまに低音にする必要はありません。
大きすぎる声は、補充現象により逆に聞き取りにくい上に不快な可能性が高いです。
またあからさまにゆっくりと話すことも、聞き取りを悪くします。
語音聴取の悪い場合、トップダウンで聞き取りを補っている場合が多いです。
言葉に変に引き延ばしやリズムを変えてしまうことで、トップダウン処理を妨げてしまう可能性があります。
②正面から口の形を見せて話す。
語音明瞭度が下がり、音だけでは何の言葉を話しているのが分かりにくくなっています。
聞き取りを助けるのに、「口の形を見せる」ことが有効です。
老人性難聴は高い音(高い周波数)が聞き取りにくくなります。
つまり、高い周波数をもつ「子音」の聞き取りが低下します。
口の形を見せることで、口の形からどの「子音」を発音しているのかのヒントを得ることができるのです。
低下した聞き取りを、「口形」という視覚情報によってトップダウンで補う方法です。
アルツハイマー型認知症と難聴を併発されている方でも、口形呈示が聞き取りを助けるという研究結果が出ています*1
「認知症だから、口の形を見せたって無駄だろう」と思わずに、正面から口の形を気持ち大げさにして話してみてください。
③冗長な言葉で話す。言葉を繰り返す。
一か所聞こえない部分があったとしても、他の部分が聞こえていれば頭の中で何を話しているのか予測することができます。
老人性難聴の方に話すときは、「代名詞を使わない」「言葉を繰り返す」と伝わりやすいです。
この配慮は認知症の方とのコミュニケーションの時にも有効です!
認知症の方のコミュニケーション特性・コミュニケーションの注意点はこちらをご覧ください。
施設・ご家庭でよくある「テレビの大音量」問題対策
老人性難聴の方は、どうしてもテレビの音量が大きくなりがちです。
その結果施設やご家庭では「テレビの音がうるさい!!!!」と他の利用者さんやご家族とトラブルになることが多くあります。
テレビの大音量問題対策案の1つとして【手元スピーカー】があります!
公式サイト: 高齢者向けテレビ用スピーカー『ミライスピーカー・ホーム』30日間返金保証
テレビの主音量を大きくするのではなく、近くに置いたこちらのスピーカーのみの音量を調節できるようになります。
商品によってはこのスピーカーにイヤホンをつけることができるものがあり、そうすると周囲へ聞こえる音はほとんどなくなります。
イヤホンの使用に抵抗がある方に対しては、手元スピーカーを目の前などにおいて、そちらのみの音量調節をしてもらう形になります。
周囲に音は聞こえますが、近くにスピーカーがある分テレビそのものの音を大きくするよりは小さい音量で聞こえるようにはなります。
1万円程度するので決して安くはないですが、施設に1台あると何かと便利ではあります。
おわりに…
「耳が遠い」からといって、「耳元で大声で話す」ことはあまりお勧めしません。
正面で目を合わせて話すことは、聞こえを助けるだけでなく、注意の誘導、安心感・信頼感の構築という視点からも最も良い形だと思います。
いつもその通りやっているから、で同じケアを続けるのではなく、
「何がその方にとってベストか?」を日々考えながらケアをしていきたいですね!
参考文献
自発性の低下(意欲の低下・発動性欠乏)、アパシーの評価と対応
一日ずっと座って、何をするわけでもなくぼーっとしてる。
そんな利用者さんが、どこの施設にもいらっしゃるかと思います。
もちろん疲労感やもともとの性格もあるかとは思いますが、中には「意欲」「発動性」「自発性」の低下、アパシーによるものもあります。
アパシーは全ての認知症のタイプで生じることが知られています。
認知機能の低下によって「できない」のと、自発性低下・アパシーによって「できるけどやらない」のでは、その対応が変わってきます。
目の前の利用者さんがどちらなのか、評価して対応を考えていけるといいですね!
アパシーの定義・「抑うつ」との違い
Marinは、アパシーは意識障害、認知障害、感情障害によらない動機付けの減弱と定義し、意識レベルの低下、認知障害、感情的な悲嘆に起因するものではないとした。…(中略)…Levy&Duboisはこれまでのアパシーの議論を踏まえ、アパシーとは動機付けの欠如というやや曖昧な心理学的概念でとらえるのではなく、目的に向けた随意的で意図的な行動の量的な減少と定義した。
アパシー(apathy、意欲低下)の診断基準 Starkstein
(A)意欲欠如:患者の病前のレベルまたは年齢的・文化的な標準と比較して意欲が低下していることが主観的に述べられるか他者から観察される(B)次の三つの領域のすべてにおいて少なくとも一つの症状が、四週間以上存在
・目標指向性の行動の減退
1.日々の活動を行う努力とエネルギーの欠如
2.日々の活動を組み立てるのに他者の助言を要する
・目標指向性の認知の減退
1.新しいことの学習または新しい経験に対する興味の欠如
2.自己の問題に関する関心の欠如
・目標指向性の行動に付随する反応の減退
1.感情の変化が乏しく平板
2.良い/悪い出来事に対する反応性の欠如
(C)症状によって、社会的、職業的、またはほかの重要な機能に臨床的に重大な困難・障害がもたらされる。
(D)症状は意識レベルの低下や薬物の直接的な生理学的効果によるものではない。
高次脳機能障害学第2版 石合純夫
そもそもアパシーは「動機付けの減弱」という、心の側面を重視した定義でした。
しかし最近では、目で見ることができず分かりにくい心の側面ではなく、実際見てわかる「行動的な側面」からアパシーを考えるようになっています。
自発性の低下・アパシーの臨床症状には以下のようなものが認められます。
・放置すると自ら何かをするという傾向がほとんど認められない。
・言語表現のみならず表情、しぐさなどの非言語的表現も乏しい。
・しかし、外からの働きかけがあると、それには最小限の反応を示すことが稀ではない。
・自発性の低下はすべての活動に及ぶこともあれば、例えば言語にのみ、あるいは思考にのみ、に限定している場合もある。
・内的体験としては、外界で生じている出来事に対して「無関心」であることが一般的であり、「抑うつ感」や「悲哀感」が訴えられることは原則的にない。
「抑うつ」の主が「抑うつ感」「悲哀感」であるのに対して、「アパシー」の主は「無関心」です。
抑うつ状態である人でも「今まで興味があったことに全然興味を持てなくなった」という訴えがあります。
抑うつの方は、そんな自分の状態に気付き、不安や悲しみを訴えます。
しかしアパシーの方は、そんな自分の状態に対しても無関心で、他人事です。
アパシーの分類とその対応
①認知処理障害によるアパシー
認知機能低下により、主に計画を立てられずに行動量が低下するアパシーです。
このタイプのアパシーは認知的不活発であるが、行動計画を立てるのに必要な認知機能の障害による目的志向行動の減少である。それは目的志向行動を計画し実行するのに必要ないくつかの遂行機能の障害に由来する。
このタイプのアパシーが、「行動量の減少」を生じる原因は遂行機能障害です。
何かをしようと思っても、どうしたらいいのか計画や手順が組み立てられないため、実行に移せない⇒自発的・合目的的な行動量の減少へとつながっています。
認知処理障害によるアパシーは、いわゆる背外側前前頭葉回路(dorsolateral prefrontal circit)前頭前野ー基底核の損傷で生じます。
その中でも特に一側または両側の尾状核頭の背側部損傷では重度のアパシーが生じるとされています。
このタイプのアパシーでは、根幹にあるのが遂行機能障害であるため、遂行機能障害に対するのと同様のアプローチがなされています
アプローチの例
・行動をスモールステップに分けて、構造化する。(言語的/視覚的)
・スケジュールの提示
・物理的空間の体系化
②情動感情処理障害によるアパシー
このタイプのアパシーは、情緒的感情的な情報と現在および近い将来の行動とを結ぶつけることができないために生じる目的指向行動の減少である。
感情と行動の結びつきの変化により、行動を起こし完結させる意欲が減じるか、将来の行動の結果を評価する能力が減少してアパシーを生じる。
情動感情処理障害によるアパシーの基盤として想定される神経心理学的症状は、「興味・関心の喪失」です。
人が行動を起こすときには、何かしら「これがしたい」「これをするのが楽しい」と思うから動きます。
人の自発的な行動には、対象への「興味・関心」が必要です。
そのため、「興味・関心の喪失」により、自発性の低下が生じます。
一方で、全般的な興味・関心の低下の結果、脳損傷前には苦手であったことにも関心が低下し、結果として苦手なことの克服につながる場合もある、という報告が上がっています。
情動感情処理障害によるアパシーの病巣は、前頭葉眼窩部・内側前頭前野が想定されています。
③自己賦活障害によるアパシー
このタイプのアパシーでは思考の賦活が困難、あるいは行動を完遂するのに必要な運動プログラム開始が困難である。自己賦活障害のある患者は、最も重度のアパシーを呈する。この特徴は自分で行動や思考を開始することが困難(心的空虚)であるが、外からの誘導や促しによる反応や行動は比較的保たれている。患者が認知情報への自動的反応ではなく内的基準に基づき行動する場合、思考や行動が開始あるいは賦活の閾値に到達しないために自己賦活がなされない。
自己賦活障害によるアパシーの神経心理学的基盤は、「発動性の低下」そのものです。
自分の力だけでは、「行動化するスイッチ」が入らない状態です。
重篤な場合は、「無言無動症」「無為無関心」と表現されるように、一日中自発的な発話もなく過ごすことがあります。
狭義のアパシーは、この自己賦活障害によるアパシーを指しています。
自己賦活障害によるアパシーの病巣としては、大脳基底核の認知領域と辺縁領域の損傷(大きな一側または両側尾状核損傷、両側淡蒼球内側部損傷・視床背内側部損傷)、背内側前頭前野と背側帯状回前部を含む前頭葉内側の損傷、大きな前頭葉深部白質の損傷が想定されています。
②情動感情障害によるアパシー、③自己賦活障害によるアパシーに対しても様々な非薬物療法がおこなわれいますが、エビデンスはまだ不十分です。
例としては
・音楽療法
・認知症例に対して回想法
などが行われているようです。
自発性・アパシーの評価方法
ここからは臨床で使えるアパシーの評価方法を載せていきます。
やるきスコア
やる気スコア
全くない 少し かなり 大いに
1)新しいことを学びたいと思いますか? 3 2 1 0
2)何か興味を持っていることがありますか? 3 2 1 0
3)健康状態に関心がありますか? 3 2 1 0
4)物事に打ち込めますか? 3 2 1 0
5)いつも何かしたいと思っていますか? 3 2 1 0
6)将来のことについての計画や目標を
持っていますか? 3 2 1 0
7)何かをやろうとする意欲はありますか? 3 2 1 0
8)毎日張り切って過ごしていますか? 3 2 1 0
==================================
全く違う 少し かなり まさに
9)毎日何をしたらいいか誰かに言って
もらわなければなりませんか? 0 1 2 3
10)何事にも無関心ですか? 0 1 2 3
11)関心を惹かれるものなど何もないですか? 0 1 2 3
12)誰かに言われないと何にもしませんか? 0 1 2 3
13)楽しくもなく、悲しくもなくその
中間位の気持ちですか? 0 1 2 3
14)自分自身にやる気がないと思いますか? 0 1 2 3
合計 ____
Apathy Scale島根医科大学第3内科版:16点以上をapathyありと評価
(Starkstein SE, Fedoroff JP, Price TR, Leiguarda R, Robinson RG:Apathy
following cerebrovascular lesions.
Stroke 24: 1625-1630,1993から引用、翻訳作成)
参考文献
1. 岡田和悟,小林祥泰,青木 耕,須山信夫,山口修平:やる気スコアを用いた
脳卒中後の意欲低下の評価. 脳卒中 20:318-323,1998
2.Okada K, Kobayashi S, Yamagata S, Takahashi K, Yamaguchi S:Poststroke apathy
and regional cerebral blood flow. Stroke 28:2437-2441,1997
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/20/3/20_3_318/_pdf
やる気スコアは全14項目の質問で意欲の低下・アパシーを簡便に評価することができます。
質問に対して「全くない 」・「全く違う」から「おおいに」・「まさに」の4段 階 で回答し、それぞれ0~3点の評価点を与え、総合点が高値であるほど意欲低下が強いことを意味しています。
カットオフ値は16点です。
つまり、16点以上であれば意欲の低下・アパシーの疑いが強くありまs。
やる気スコアの対象はアパシーが軽度から中等度であり、適切な回答ができる知的レベルと言語機能を有する患者です。
Vitality Index
https://jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/tool_12.pdf
Vitarity Indexは利用者さんの様子から意欲・アパシーを評価する観察評価です。
全15項目を0-2点の3段階で評価をします。
得点範囲は0-10点であり、点数が高いほど意欲が高いことを示します。
観察評価であるため、質問に対する応答が困難な方にも評価を行うことができます。
標準意欲評価法(CAS)
標準意欲評価法は脳損傷に伴う意欲低下について、面接・質問紙・日常生活行動・自由時価の行動観察および臨床的総合評価、5つの評価からなります。
高次脳機能障害学会が作成し、名前の通り「標準化」されています。
観察項目や評価基準が明確に定められており、現時点で最も客観的で信頼性のある評価です。
他二つの検査の方が簡便ですが、CASでは細かい分情報をたくさん集めることができます。
CASは面接での質問、質問紙合わせると質問項目が多くなるので、その量に対応できる方が対象になります。
標準化されているが故、ちゃんとした検査バッテリーを購入しなくてはなりません。
病院ならおいてあるところが多いと思いますが、生活期で使うにはその辺が厳しいですね…。
上申してみて購入してもらえるのであれば、ぜひ買ってもらって使ってみるとよいと思います!
参考文献