口腔内衛生状態の評価方法【OHAT使用の勧め】口腔機能向上加算のアセスメント・モニタリングに!
OHAT(Oral Health Assessment Tool)とは?
OHATの評価用紙は↓のURLからダウンロードできます。
http://dentistryfujita-hu.jp/content/files/OHAT%20160120.pdf
また、藤田保健衛生大学医学部 歯科・口腔外科学講座 歯科部門のHPから説明用資料や動画をダウンロードできます。
http://dentistryfujita-hu.jp/research/project.html
OHATはオーストラリアの歯科医師Chalmersらによって開発された、口の中の状態のアセスメントシートです。
OHATは施設で、自分自身で口腔内の痛みや異常の訴えを表出することができない要介護者の口腔問題を、適切に発見することを目的として作られました。
口腔ケアを行うことが、誤嚥性肺炎を有意に防ぐことが近年明らかにされてきています。
それに伴い、口腔ケアの重要性は徐々に認識されてきています。
しかし、口腔ケアの対象である「口腔」の、簡便な評価ツールは今までありませんでした。
一見して「汚い」「ひどい」口腔でも、それぞれ主観による評価になっていまい、統一した評価、評価に基づくケアが難しい、という現状がありました。
丁寧な口腔ケアを継続して、口腔内環境が改善した時も同様です。
「どこが」「どの程度」を数値化・客観化することで、口腔状態を適切に評価し、評価に基づいたケアを行っていくことができます。
OHATの使い方
OHATの評価方法はとても簡単です!
介護職員が簡便に評価できるように、OHATは作られています!
OHATの評価項目は、「口唇」「舌」「歯肉・粘膜」「唾液」「残存歯」「義歯」「口腔清掃」「歯痛」の8項目あります。
この8項目を、「0=健全」「1=やや不良」「2=病的」の3段階で評価を行います。
OHATの評価用紙には、図のようにそれぞれの段階に合わせた写真が載せてあります。
その写真と見比べながら、目の前の利用者様の口の中とを比べて点数をつけていきます。
1項目でも「2=病的」の項目であれば、歯科受診を勧める必要があります。
OHATは基本的には写真と見比べて、評価=点数をつければよいです。
各項目いくつか注意点があるので、その注意点だけまとめていきます。
OHAT評価項目の注意点
・口唇
口唇をよく観察し、必要があれば触れて確認します。
口角は、軽く開口させて状態を観察しましょう。
口角の乾燥やひび割れを認めたら1点を付けます。
潰瘍性の病変、出血があればただちに2点を付けます。
・舌
舌苔の付着があれば、量や性状、色にかかわらず1点。
潰瘍性病変、出血があればただちの2点。
・歯肉・頬粘膜
歯肉はかみ合わせた状態、頬粘膜は少し引っ張った状態が観察しやすいです。
歯肉の腫れ、赤みは「歯6本分以下」なら1点、「歯7本分以上」なら2点。
揺れている歯がある、歯肉・頬粘膜に潰瘍性の病変があるなら2点。
・唾液
唾液が少量で粘膜がべたべたしていたら1点。
泡沫状(泡状)の唾液があるなら1点。
唾液がほぼなく、舌がかぴかぴとひび割れた干からびた状態であれば2点。
意思疎通可能な場合、「口渇感」があると訴えがあれば1点以上をつける。
・歯
残存歯(残っている自前の歯)が1本もないけれど、上下の総入れ歯を使っていれば0点。(健全)
間違いやすいので要注意です!
虫歯、歯が折れている、残根、咬耗(強い噛みしめで歯が削れて低くなっている)が「3本以下」なら1点。「4本以上」ならば2点。
残存歯が3本以下で、義歯を使用していなければ2点。
・義歯
義歯や人工歯(差し歯やインプラント等)が折れている、破損が一部分あれば1点。
2部位以上あれば2点。
破損などの異常がなくても、1日1-2時間しか使用していない場合は1点。
施設にもってきていなくて使っていない場合は、紛失と同じ扱いとして2点。
・口腔内清掃状態
食べ物のカス、歯石、プラークが1-2部位あれば1点。3部位以上あれば2点。
口臭が若干あれば1点。強い口臭があれば2点。
おわりに…
OHATを使うことで、「見なければいけない部分」が分かるようになります。
はじめは抵抗感があるかもしれませんが、慣れてしまえば評価項目は自然と頭に入り、ぱぱっと評価ができるようになります。
口腔内衛生状態の定期的なアセスメントツールとして、
「適切なケアでこんなに変わったよ!」を証明する道具として、
ぜひOHATを使ってみてください!